如月九日
肉の日さ 肉を頬張る 笑顔かな
「ねえねえ、今日は何の日だか、わかる?」
これが、女子特有の、今日何の日クイズだというのだろうか。
彼女からこのクイズを出されたのは初めての経験で、僕はひどく狼狽えてしまう。
「正解は、肉の日でしたーっ! ということで、一緒にお肉を食べに行きましょ」
あれ、女子の今日何の日クイズって、記念日とかを言うんじゃなかったっけ?
二月九日。語呂合わせで、肉の日。彼女が言っている肉の日というのは、それで良いのだろうか。
それとも、偶然僕が二月九日に「この味が好きだ」と言ったとかで、二月九日はお肉記念日になっているとか、彼女の中でそういったことがあるのだろうか。
いやまさか、そんなことがあるとは思えない。
そもそも彼女は好んで肉を食べるが、僕は好きで肉を食べたりしない。
嫌いというわけでもないのだが、あまりに彼女が美味しそうに食べるものだから、肉はほとんど彼女にあげてしまう。
ならやはり語呂合わせでの肉の日だろうか。
女子力を感じられない、そんなところが、彼女らしいと言えば彼女らしいのだろう。
「良いよ。それじゃあ、どこへ行きたい? 肉と言ってもいろいろあるだろう、何が食べたいんだい?」
「焼肉とハンバーグとから揚げよ。朝食昼食夕食夜食、ほら、これだけあれば全部食べ尽くせるじゃないの」
「一日は三食になさい。夜食なんてしたら、太ってしまうよ。そりゃまあ、太っても可愛いだろうが、僕は君に健康を害するようなことをしてほしくない。本来ならば、肉よりも野菜を食べてもらいたいくらいだ。けれど君が美味しそうにして肉を食べるものだから、禁止したら可哀想かと思い、許してあげているんだ。けれども、夜食なんてものは許せないね」
彼女が阿保を炸裂するものだから、僕の口うるさいおばちゃん化が進んでしまったのだが、彼女がちっとも話を聞いていないので、仕方がなく黙る。
もっと言いたいことはあるのだけれど、本人が聞いていないのだから仕方があるまい。
こういったところが僕は彼女に甘いのだろう。
結局、三食とも、彼女の希望通り、肉を食べさせてやった。さすがに理性を保たせて、夜食は禁止を貫いたけれどもね。




