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365個の物語  作者: ひなた
如月 冬の恋は一方通行のようでもあり、……だけど重なっている。
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如月五日

  無邪気さで 君が見つめる ふきのとう

      あともう少し 雪から「よいしょ」


「どうしたの?」

 じーっと雪を見ているものだから、不思議に思ってそう訊ねてみる。

 その場所に、何かがあるのだろうか……?

 見えちゃいけないものが見えているのではないか。余計なことを考えてしまい、少し恐ろしくも思えた。

「ここに角があるの」

 無邪気な瞳を僕に向けて、そんなことを言ってくる。

 角っていうのは、牛とかに生えているようなあれだろうか。

 もしかしたら、その場所は地獄と繋がっていて、鬼の角が見えているのかもしれない。

 君が無邪気だからこそ、それが見えてしまっているのかもしれない。

 そんなはずがないのに、怪談話なんかも丸っきり駄目な僕は、何を見ているのか確認することを躊躇った。

「あっ、あぁ。それはふきのとうと言ってね、角ではないんだよ」

 勇気を出して確認をしてみて、その正体を確認すると、安堵の声が漏れた。

 良かった。

 角のように見えたから、そう言っただけだったのだ、ふきのとうを知らないだけだったのだ。

 こんなに安心しちゃって、当たり前のことなのにね。

 本当に角だと思っただなんて、幼稚園生の言うことに、二十六にもなって僕は何を考えているんだか。

「雪から頭を出そうと、一生懸命に頑張っているんだよ。応援してあげよっか」

「うん! がんばれ、がんばれー、ふきのとうさん!」

 応援の効果があったのか、一気にふきのとうが伸びて、雪からぴょこっと出てきた……気がした。

 って、それこそ怖いよね。

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