師走二十四日
白雪が 降り積もりては 貴方への
愛もしんしん 降り積もるかな
まだ梅は咲きませんね。
今年の初めの頃に、貴方に向けて書いた手紙を、今更になって貴方が見せて来ました。大掃除をしようと思って、整理をしていたら、出てきたとのことです。
一人で見る梅の愛らしさが寂しくて、つい、手紙を送ってしまったのでした。
そういえば、庭にあったあのセンスのない雪達磨。
結局、確認はしていないわけですけれど、作ったのは貴方だったのでしょうか?
他に作る人がいないものですから、それを疑いもしませんでしたね。
確認するまでもないことですか、やっぱり。
桃の花が咲いたときにも、まだ貴方は帰って来て下さっていませんでした。
たった一人、一人ぽっちで桃を見るのは、梅を見るのよりも寂しさが増しているようでした。
雪達磨を残していたのに、私に会って下さらなかったという、それが寂しさの背中を押していたのだと思います。
春という季節は、温かいだけに、一人ぽっちが辛いものですし。
そして忘れもしない四月の十五日。
貴方が私を迎えに来て下さった。もう既に散ってしまった桜の下で、貴方が私を抱き締めて下さったのでした。
大好きです。大好きです。
本当に貴方のことを愛しているのです。
貴方への愛を再確認することができました。
貴方と一緒にいられるだけで、幸せで仕方がない、私がそう思っているように貴方もそう思っているようですね。
嬉しいのです。
二人の愛がどれほどまでに深いかが知れるというものでしょう?
私と貴方。二人だけの世界。
こんな素晴らしい場所が許されるものなのでしょうか?
私たちにとっては、いつだって記念日です。いつだって幸せなのです。
傍にいられるということだけで幸せなのですから困ったものです。
想い合っているという信頼が何よりも大切なのです。
不十分なところのない暮らし、本当にこのようなことが許されるべきなのか、不安になるくらいです。
あぁ、雪が降って参りましたよ。
雨はあんなに淋しかったのに、雪はこんなに幸せで溢れているのですね。
ホワイトクリスマスというのでしたっけ?
いつにも増して、幸せで優しくて、素敵な雪……なのですね。
こんな夜遅く、出歩くことは許されないのですか。
それとも星降る夜と同じように、貴方の傍にいるという条件でなら、それも許されることなのでしょうか。
愛しい貴方と、美しい景色を眺めたいのです。
気持ちが収まらないほどに、貴方への愛が溢れてきます。
簡単な言葉に騙されてしまうくらいの間というわけなのです。
貴方のせいですよ。
本ばかり読んでいたせいか、適当な言葉には心打たれようがないと思っていましたのに、その自信が有りましたのに、ひどいものです。
貴方に言われると、ベタな言葉にも騙されてしまうのです。
あっそういえば、ストレートな言葉に弱いということに、私は気付いたのです。
だって「えっろ」だなんて、セクハラ染みた言葉をもらうとは、思いやしないではありませんか。
どうしてなのです。
私が苦手なのは、貴方に、というわけなのかもしれませんね。
それこそ、ベタな言葉なのでしょうけれど。
って、今日はクリスマスイブなんですよ。
過去話なんてしている場合じゃありませんっ!
「明日はクリスマス。サンタからの素敵なプレゼントを期待していろ」
期待していたのに、何もないまま夜を迎えて不思議に思っていますと、耳元でわざと囁いて来る貴方。
大好きな貴方の声に、私は胸がいっぱいになりました。
素敵なプレゼント、ですか。
「期待しています。ハードルだけ上げて、がっかりさせないで下さいよ?」
「当然だ」
自信満々に笑う貴方には、期待せざるを得ませんね。信じています。
それに私は貴方のすることなら何もかもが嬉しいのですから。




