師走二十日
冬の日を 想う心に 風荒び
冷えた指さえ またも恋しき
思い出す冬の日。
もういくつ寝るとお正月。
今日と同じくらい、いや、もっと寒い日だったかもしれない。
正月が過ぎ去ったばかりだというのに、次の正月までの日を、数えようとしてしまっていた。
その次の正月というのが、今やここまで近付いているとなると、嬉しいというか寂しいというか嬉しいというか。
とにかく嬉しいというか。
ただこの寒い中、まだ休みに入らないのは気に入らないけど。
寒い日と暑い日は休みを増やさなくちゃいけないと思う!
ほんと義務っ!
思い出す冬の日。
寒い日に限って、俺の彼女のデレ期はやってくる。
どういう化学反応が起こっているのか。それはわからないけれど、寒いのは苦手な俺は、それがあるから寒い日が好きであった。
彼女が冷たいくらいなら、寒い方がましだ。
夏場とか、暑苦しいから近付かないでって言われるし……。
幸せなんだよ、寒い日って。
思い出す冬の日。
寒いのだから、絶対に外になんか出まいと思っていたのだが、楽にならない寒さを楽しくできたならと、雪だるまを作ったのだった。
思いがけず、愛着が湧いてしまったのだったな。
今回の冬も雪が降ったら、雪だるまを作ろうか。
今度の子とは、一週間くらいは一緒にいられたらいいのだけれど。
忘れていないから、安心して。
また同じように、可愛く作ってあげるから。
僕は君のことが好きになったせいで、冬のことも好きになってしまっているのかもしれない。
今も雪の日を待ちわびているよ。
思い出す冬の日。
一日の寒暖差が物凄いだとか、そういう場所って、絶対に生きていけないと思う。
だけど暑い日が続くだとか、寒い日が続くだとか、そういう逃げどころがない感じも止めて欲しいよね。
九月の残暑とかそもそも二月の存在とか、暑さ十分ですー寒さ十分ですー、とにかくもううんざりなんですー状態じゃん。
暑くも寒くもなければ良いのに。
それはずっと抱えていた切なる願い。
思い出す冬の日。
バレンタインでチョコレートを渡すのは、照れくさくて、とても僕にはできなかったのですよね。
けれど、彼に気持ちを汲んでほしかったから、誕生日という名目で彼にチョコレートをプレゼントしてやると言いました。
本当に困りものですよね、馬鹿ばっかりです。
僕も彼も、とんだ馬鹿ですよ。
来年のチョコレートは、バレンタインデーにあげましょうかね。
そうして誕生日には、何か別のものを差し上げましょうか。
あぁ、寒い冬の日は、なんと甘いことでしょうか。
思い出す冬の日。
君だけは失いたくないと、君だけを失いたくないと、わがままな僕は叫んでいた。声には出せず、心の中で叫び続けていた。
恋の不平等さに泣いていた。
そんなことはなかったのに……。いや、反対だったから、そんなことないわけでもなかったのか。
苦しんでいたのは、僕ではなくて君の方だった。
幼稚な僕ではなくて、気持ちを隠して大人なふりをしていた君こそが、苦しんでいた。苦しんでくれていた。
君のことを信じもせずに、責任転嫁までをした僕はよっぽど楽だったろう。
今ならわかる。いかに僕が君を苦しめていたか。
けれど今でも、どれほどまでに君が苦しんでいたかは、わからないんだ。
いつまでも僕にはわかりようがないだろう。
推測なんてできないほどに、君を傷付けてしまっていた僕なのだから。
思い出す冬の日。
バレンタインで浮かれていた頃、油断していた、インフルエンザに襲われたのだった。
思い出す冬の日。
インフルエンザに苦しみ、君にうつしてしまうという恐怖で苦しんだ。
そしてお見舞いに来てくれた、その喜びに悶えたのだったな。
思い出す冬の日。
家族にインフルエンザをうつしてしまって、大変なことになってしまったのだ。
僕はまだ出席停止だったとはいえ、元気になったのだけれど、僕以外の全員がインフルエンザで寝込むって言う。
あれは本気で辛かった。
思い出す冬の日。
元気でありながら、出席停止だから仕方がないというわけで、学校に行きたくて仕方がなかったのに、学校を休んだんだよね。
家族にインフルエンザをうつしさえしなければ、最高の期間だったろうに……。
あ、間違えた。
学校に行けないなんて、最悪だったよ。
思い出す冬の日。
学校に復帰。と思ったら、学級閉鎖になったんだよね。
結果、僕は物凄く長い期間、学校を休むことになった。
冬休みが終わって、一月後には冬休み再みたいな?
今度の冬休みも二回あったら嬉しいなぁ、なんて。
思い出す冬の日。
八月の次に休みが多かったのは、二月だったのではないかと記憶している。
今年度のインフルエンザ事情がどうなるかはわからないけれど、長期休暇が一つ増えるのは、喜ばしいことだよね。
ごほん。今のは口が滑りましたな。
学校に行きたくて仕方がないから、今年度はそういったことがないよう気を付けないといけない。
結局、春休み遠ざからなかったから、わっしょいだったのは内緒。
思い出す冬の日。
閏年生まれの人って、年を取らないよね。
そんなどうでも良いことを考えていた気がする。
二月二十八日って、二月二十九日のことを考えちゃうから、逆に可哀想かも。




