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365個の物語  作者: ひなた
師走 これが最後だというのなら、規則性なんて、いっそ壊してしまいたい。変わらないまま終わるのは、なんだか……空しいから。
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師走十五日

  万緑に 葉付き葉月の 葉が尽きて

   見上ぐ秋月 見ゆ先の月


 あまりの暑さに 焼き焦がれていた

 降り注ぐ太陽 燃えるような日差し

 よく晴れているというのに

 その感覚を少しも感じさせない

 そんな今日の日差しは

 反対に 君が目を細めて見ていた

 あの熱い日差しを遠ざけるようであった


 あまりの暑さに 焼き焦がれていた

 そして今は あまりの寒さで

 焼き焦がれているわけではないし……

 なんだろう? 凍ってる?


 あまりの暑さに 焼き焦がれていた

 それどころか むしろ焦げていた

 夏といえば 海とか花火とかかな?

 実際に苦しい夏ではなくて

 他の季節に見てみた方が 思い付くものだ

 客観的に見ることが大事だって あれかな?

 今 冬といえば?

 そう訊かれてしまったなら

 きっと寒いとしか言えない


 あまりの暑さに 焼き焦がれていた

 蝉の声に 耳を塞いでいた

 かっこつけて言ってみたけど それだけ

 夏は蝉が五月蝿くて耐えられなかったな

 ただそれだけの話

 その反面 冬は涼しくて静かでいい

 静かなのはとても素晴らしいと思う


 あまりの暑さに 焼き焦がれていた

 大人になっても夏休みって必要だと思う

 同じように それと全く同じように

 大人になっても冬休みって必要だと思う

 間違えなく 冬休みはあるべきものだ

 焼き焦がれていたこの胸は

 冷えて氷って 弾けて壊れそうだから


 あまりの暑さに 焼き焦がれていた

 焼き焦がれるがあまり おかしくなっていた

 たぶん暑さのせいで 脳ミソやられちゃってた

 じゃなきゃ 言えないようなこと言ってた

 曖昧な記憶の中に それをあたしは感じ取る

 十二月は 語呂合わせが難しいな うん


 あまりの暑さに 焼き焦がれていた

 頭がおかしくなっていた 本当に

 私の名前は師走ではないから

 何も言えないし 名前ネタも思いつかないし

 これはもうどうしようもないなぁ

 他に何かボケかネタかを考えておかないとだ


 あまりの暑さに 焼き焦がれていた

 夏のせいってことにして 全て誤魔化していた

 全て許してもらえるとさえ思っていた

 完全に夏が終わってしまった

 正反対だ 冬だ 今は冬だ

 何かをしたときに 冬のせいとは言えるのか?

 きっと夏以上に それは難しいものだろう

 だけど全部 きっと冬のせいなんだ


 あまりの暑さに 焼き焦がれていた

 儚い人々からしたら 永遠とも呼べる日を過ごした

 その僕からしてみれば 一夏の恋だった 

 たった一瞬だけの恋

 暑さによって惑わされた 一夏の恋でしかなかった

 そういうことができたなら 何となるだろう

 消えてしまったあなたは 帰って来ない

 突然に命を奪われてしまったあなたは

 光に包まれて 一瞬にして消えてしまったあなたは

 どうして僕はまたも この寒い冬を

 たった一人で過ごしているのだろうか……


 あまりの暑さに 焼き焦がれていた

 頭も焦げて駄目になっていたことだろうし

 心も完全に浮かれて駄目になっていた

 これから冬休みになったら

 駄目になるというより 駄目人間になるだろう

 長期休暇の中盤には だれだってそう

 宿題という存在が 頭の片隅にもない

 つまりは夏と冬を通した結論は

 そういうことなのではないだろうか 以上!


 あまりの暑さに 焼き焦がれていた

 夏の日のことを この冬の日に思い出してみてくれ

 きっとだれも驚きばかりに満たされるだろう

 気温の高さが テンションにも影響している?

 とにかく夏のハイテンションは マジでアホ


 あまりの暑さに 焼き焦がれていた

 若い彼らは 暑さと熱さの差さえわからなかったろう

 だから夏の日に 彼らは燃え尽きようとした

 私はそれがわかっているだろうに

 おまえらの若々しさに 応援したくなってしまったのか

 まだまだ私も若いということか


 あまりの暑さに 焼き焦がれていた

 休み中に 休みを求める訴えを起こすとは

 よくぞまあ 今の休みに騙されなかったものだ

 そこは自分で褒めてあげたいところだけれど

 暑さのせいで 正常な考えから遠ざかっていたとは思う

 寒い冬の日には もっと冷静になってしまっている

 夏休みくらいの長さの休みがあったとしても

 あのようなことは言えないのだろうな

 慣れない敬語なんて使って いろいろと”夏”だった

 これが今の僕の意見 いや感想なのでありました


 あまりの暑さに 焼き焦がれていた

 けれど故障しつつある頭の中で どうにか考えた

 頭を少しずつ動かし始めようと 努力していた

 僕はそんな苦しい夏休み後半戦を

 毎年毎年のことなだけもあって よく憶えている

 冬休みには絶対にそれを繰り返しはない

 これは クリアできたことのない

 毎年のように立てている誓いだ


 あまりの暑さに 焼き焦がれていた

 あまりの怖さに の間違えかもしれない

 って俺は何を言っているんだか!

 寒さに凍えていたせいだろうか

 つい本音が漏れてしまっていた

 ん? 本音? 本音じゃねぇよ!

 怖くはなかった 怖くなんてなかった

 肝試しなんて興味ない興味なかった

 冬なら 寒気がしても気付かないかもな


 あまりの暑さに 焼き焦がれていた

 どうでもいいことを ネタにしてしまうくらい

 どうでもいいことを ネタだと思ってしまうくらい

 笑えたのは 夏のおかげというか 夏のせいというか

 この寒い冬だったらば 北風が吹いて終わっていた

 はぁ

 ………… ……オチなどありませんけど何か?


 あまりの暑さに 焼き焦がれていた

 焼き焦がれてしまっていた心で 恋い焦がれていた

 涼しい日を 恋い焦がれていた

 本当い秋という日が訪れることを

 本物の秋という日が訪れるということを

 恋い焦がれ 待ち侘びていた

 ここまで寒くなってしまうと 不思議なもので

 すぐに考え直しはするものの

 苦しい一瞬だけ それだけの間だったとしても

 夏の方がましだなどと思ってしまうの

 莫迦よね 自分が夏が苦手だって知ってるのに

 暑いのも寒いのも 結局両方嫌ってことよ


 あまりの暑さに 焼き焦がれていた

 あの熱さがここにあったなら

 冬ならではの 儚く哀しいものというものを

 楽しむことなどとてもできなかったことでしょうね

 花火はいつの季節に輝いても

 たとえそれが夏の夜空でなかったとしても

 その魅力で人々を魅せることは 十分にできます

 しかし冬の持つ儚く哀しいもの

 この雪の粒というは 本当に冬ならでは

 どんなに大切にしていても 抱き締めていても

 指先を濡らして 消えてしまっているのです

 それはまるで あの日の彼女のようでした


 あまりの暑さに 焼き焦がれていた

 恋のような気持ちになっていたことさえ

 夏だったからなのだと 諦めそうになった

 そのようなことも 実際にあったのでございます

 けれど約束を破ることなど できませんでした

 待つと決めたのに 勝手に諦められませんでした

 帰って来てくれたとき だれも待っていないと

 寂しいに違いがないと思いましたから

 諦めずに堪えていたおかげで掴んだ

 正真正銘 はっきりと言える ハッピーエンド

 美しさに哀しむことも もうないのでございます

 私たちにとって 特別な季節は夏です

 雪の降る夜空に そっと微笑みを向けるのでした


 あまりの暑さに 焼き焦がれていた

 節操というか貞操というか

 え? 自分で何を言っているんだかわからない

 え? 何を言っているんだ僕は

 暑さのせいでなくて 寒さのせいでもか

 発言を慎むようにする すまぬ

 なんなら 切腹しようかな

 切腹 せっぷく セッ

 何を考えているんだ僕はー!


 あまりの暑さに 焼き焦がれていた

 あまりの儚さに きゅっと締め付けられていた

 派手に一瞬を光って 煙と消えてしまう

 花火は夏の儚さを表している

 きらりと光って 願いを抱えて消えていく

 流星は夏の儚さを物語っている

 蛍もそう 月だってそうなのかもしれない

 秋の中秋の名月とは違う 夏の月とは

 夏は夜というだけあって 夏の夜は実に……

 けれど中でも儚く消えた 夏という夏

 線香花火を僕は 夏に重ねて苦しんだ

 今は融けゆく雪のように

 運命 そんな言葉で片付けられてしまう

 呆気ない 儚い あぁ

 音もなく僕の涙が落ちて 掌の雪を融かした


 あまりの暑さに 焼き焦がれていた

 暑さが変わらないでいるうちは

 夏休みも変わらないままある そう信じていた

 終わりがそこまで近付いているとは思わなかった

 白紙に責められていることに 気付かなかった

 意図的に目を逸らしていたともいえるけれど


 あまりの暑さに 焼き焦がれていた

 計算機能というものが 全く働いていなかった

 ちなみに今は 凍っていて作動しない状態だ

 そろそろ勉強をしないといけないだとか

 残っている宿題の量から 導き出せなかった

 まだゲームができると思ってしまっていた

 それは今も変わらないこと

 勉強をしようとしているのに なぜなのか

 当然のように 手にはゲーム機が握られていた


 あまりの暑さに 焼き焦がれていた

 休みを追い求めていた

 過ぎ去ってしまった日々に

 戻りたいと強く願っていた

 夏休みという特別さが 僕には恋しい


 あまりの暑さに 焼き焦がれていた

 もしかしてあのドキドキって恋だったのかしら?

 あの胸の高鳴りって恋だったのかしら?

 はい馬鹿! なわけ!

 冬になってもなお言えるくらいに

 僕は夏を嫌ってしまっているようだ

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