師走十四日
夏の日は 知る絶望も 包み込み
暑く輝き 消ゆる文月
暑い日が思い出される。
友情が恋愛感情に変わるのを感じ、禁忌に胸を痛めた記憶。
冬の寒さの中で、暑い日を思い出して、熱くなってくるようだった。
花開け花火。
この冬の日に、あの夏の日のように。熱く。熱く。
寒い日に胸が痛む。
暗闇を飛び交う蛍の光とは、同じ小さな光にしても、温かみが全くもって違っているのだ。
イルミネーションだなんて、人の手によって作られた、あまりに美しく作られているもの。
彼女と出会ったのも別れたのも、彼女と過ごした時間は暑くて、夜になっても暑いままで、そんな夏の間だけだった。
はっ、馬鹿らしいかな。
何十年もたってなお、夢を忘れられないとは。
暑い日が思い出される。
確かにここ何年と、海なんかには行ってなかったけれど、まさか冬に来ることになるとはね。
海の日だから海に行こうと思って、結局、海に行かないまま海の日を過ごしたこと、後悔していたんだよね。
また来年、海の日チャレンジをしようと思ったのだけれど。
なぜ冬に来てしまったのだろう、僕。
寒い日に胸が痛む。
これだけ寒いのだから、冬眠をするべきだろうな。
そうしなければ死んでしまう。人類滅亡だ。
というわけで、おやすみ。Zzz
暑い日が思い出される。
汗でべたづいて、服が脱げなかったんだよな。
今日とかは、正真正銘will notだね。
寒くて服を脱ぐなんて意志はとても持てない。
冬に着替えは時間を要する。
だって寒いんだから!
寒い日に胸が痛む。
海星よ。こんなにも夏らしく輝きを持っていそうなのに、どうして冬でも、そう元気でいられるのだろうか。
水族館が、その水槽の中が、一年を通して同じ水温となっているから。
お前はそういう冷たいことを言うのか……?
でも冬の輝きっぽい感じの生き物って、逆になんだろうね。
それ以前に、逆にって何が逆なんだろう。
暑い日が思い出される。
これから夏本番というときに、夏の終わりを想って、切なくなっていたことだ。
今でも十分に寒いのだけれど、これからがきっと冬本番。
冬の終わりなど想いはしない。
それどころか暑い日を胸に思い出すとは、僕は、私の化身なのかもしれないな。
私もまだ若いと、そういうことかしら?
寒い日に胸が痛む。
明るくポジティブなのが夏だとしたら、その正反対にある冬の日は、暗くネガティブなのだろう。
特別、夏の方が好きというわけではないが、気持ちとしてわからないでもなかった。
それもまた魅力ではあっても、冬は切ないよ。
暗いのは、日の沈むのが早いからなのかもしれない。
無理にそう笑って見せるが、それこそ冬がゆえの痛々しさだったろう。
暑い日が思い出される。
友だちと遊び回ったがあまり、後半は宿題が終わらなくて、結局は写させて貰ったんだっけ。そういえば、彼と付き合い始めたのも、夏だったな。
あっもうすぐクリスマスだわ。彼ったら、どうしてるかしら?
はっ! 虫唾が走るわ。
そうよ悪い? 完全に私はぼっちだった。
夏ぼっちだった私は、もちろん冬もぼっちよ馬鹿!
寒い日に胸が痛む。
冬の星というのは、夏の星よりも明るく大きく見えるのだよ。
長い夜、空いっぱいに輝く星と、冷たく吹き抜けていく夜風。
凍えてしまいそうなほど寒いから、動けなくなるほど美しいから、胸が痛くなるのであった。
夏の星くらいの方が、恋らしくて、見惚れていられたのかな?
暑い日が思い出される。
昼間は耐えられないほど暑くて、けれど夜になると、涼しくて絶妙に暗く明るく、過ごしやすさというものを感じた。
暑い夏の中の夜という瞬間は、昼間の暑さとも重なり合いつつ、涼しく柔らかいハーモニーを奏でていた。
なのにどうしてなのか。
寒い冬の中の昼という瞬間は、暖かな居場所を作ってはくれない。
美しさを奏ですぎて、夜は、冬の夜のその瞬間は、……。
寒い日に胸が痛む。
見上げればそこに広がっているのは、プラネタリウムでしか見たことがないような、美しい星空なのであった。
ああ、なんという感動だろう。
元より星が好きで、プラネタリウムもよく見るのだが、それとは全く異なる感動だ。これだから、本物の星空というのは、美しくて困る。
昼間でも見られる、あの創られた星空など、ただの映像でしかないのだと、その差を見せつけているようではないか。
夏の日の僕の言葉だ。
夢にまで見たいと願った星空。本当に美しかった。
しかし寒いこの冬の日に、夜空を見上げてみたならば、なんという絶景であることか。
七月の星など、七夕という飾りも含めてのこと。
実力というものを見せつけられたようであった。
ひどく、虚しいほど、美しかった。
暑い日が思い出される。
夏らしいことをしたような気がする。いや、しなかったような気もする。
あぁそうだ、ゲームをやっていたんだ。
じゃあ今日もゲームやろっと。
寒いんだから、暖房付けて室内でゲームに限るでしょ。
寒い日に胸が痛む。
春眠、暁を覚えず。
もうそれはだれもが共感する、天才的なことだと思う。
夏は暑苦しくて寝ていられないし、夜が短くて、すぐに朝が訪れてしまう。辛い。
布団にずっといられるのなら、それが許されているというのなら、冬というのもそれなりに素晴らしい季節と言えるだろう。
冬の布団の中は至高だ。
けれど朝、起きなければならないことを考えると、あの心地好さは地獄とすら言える。
あっでも、そう考えたら、春も冬も同じっぽい。
眠りが心地好くて、布団が心地好くて、目覚められな~い。
暑い日が思い出される。
永遠を莫迦みたいに信じてしまう。毎年、永遠を信じさせられてしまう、暑い夏の日。
反対に、冬というのは、どうしてこうも、刹那を想わせられるのだろうか。
これが暑さと寒さの差ということか。
刹那の瞬間の中で、刹那の永遠を想う。
あまりに儚い永遠だった。
寒い日に胸が痛む。
夏は夜というのは納得だが、冬はつとめてとは、どうにも納得がいかない。
それが、僕にはよくわからない。
冬だけがどうにも共感をできないのだ。
冬らしさを纏い過ぎて、それは、それは、遠いのかもしれない。
遥か遠くにしか見えないから、なのかもしれない。
吹き抜ける北風が冷たいよ。
暑い日が思い出される。
夏の夜こそ夢を見よと、一夜の恋に胸を焦がす夏。
けれど夏も所詮は季節の一つ。他の季節と、そう変わるはずもなかった。
失恋を知ったとき、私は恋というものを本当に知った気がしたの。
「どうして?」
何度も繰り返した疑問。
そうして私は答えに辿り着いたの。
考えるのは、愛になってからでいい。
楽しければそれが恋だ、そう気付いたわ。
寒い日に胸が痛む。
星祭りの日の星は、感動的なまでにきれいだった。
同じ星空を、他の日に見たところで、きっとあそこまできれいには見えなかったと私は思うの。
恋い焦がれる気持ちが、私の目にキラキラのフィルターを掛けたのね。
そうたとえば、恋する乙女には全てが輝いて見えるように。
特に、好きな子なら、何をしていてもかっこよく見えるように。
あの日の私はそれときっと同じ状態だったの。
運命の恋という存在に、恋をしていたんだわ。
恋愛というものに、恋をしてしまっていたのだわ。
寒く冷たいこの季節だからこそ、七夕の奇跡を私は想う。
私の気持ちを夏の日に戻してはくれないかしら、と。
暑い日が思い出される。
少しでも暑さを紛らわそうと、プールに行ったんだけど、身動きが取れないほど人が多かったんだよね。それで、逆に暑かったっていう(笑)
イルミネーションに輝く街は、人に溢れている。
だけどなんでだろう。悪い気はしない。
寒い冬だから、人の温もりを求めてしまっているのかもしれない。
人口密度としては、そう変わらないのだろうけれど、不思議と暑苦しいとは思わなかった。
柔らかな電球の光が、優しく降り注いでいるようだった。
寒い日に胸が痛む。
貴方に会えない日が、辛く私を責め立てるようなの。
この恋が辛いわけではないわ。
私、貴方と紡いでいるこの恋が、幸せで堪らないの。障害があろうとも、どうってことないわ。
それなのに、前に会った貴方とも、次に会う貴方とも遠い冬の日。
どうしても切なくなってしまうんだわ。
自分のことを不幸だなんて思ったことはない。だのに、私ったら、いけないわね……。
貴方がいないと、泣き虫になるみたいだわ。
貴方がいないと、笑顔を忘れてしまうようだわ。
貴方がいないと、私、やっぱり駄目なのね。
暑い日が思い出される。
耐えられない暑さだったな、夏。
どうやって乗り切ったんだっけ?
え、夏、ちゃんと乗り切れたっけ?
わからない。
とにかく冬は、乗り切る方法として、毛布を使うしかない。
電気の使用が制限されている以上、文明の利器に頼ることは難しそうだ。
しょうがない。毛布の中で耐えるんだ。
ほら、夏よりは簡単でしょ?




