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365個の物語  作者: ひなた
師走 過ぎ去っていく日々の早さや儚ささえ、もう感じなくなってしまうほどに、忙しく忙しなく消えて行ってしまう残りの日々に。
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師走四日

  駈け出せば すぐ傍にある ゴールなら

     歩きたいとも 想えぬものか


 ここで走り出してしまったなら、すぐにでも、ゴールへと辿り着いてしまうに決まっている。

 なのだから、心地好いこの関係性を終わらせてしまわないために、わざとゴールを遠ざけるという道もある。

 遠回りという道もあるのだ。

 ゴールが遠ければ、この辛い道筋を早く終わらせてしまいたいと、すぐにでも駈け出すに決まっているのに。

 だのにどうしてなのだろうな。

 いざ、ゴールが近くへ来てしまうと、どうにもゴールを遠ざけようとしてしまうものだ。

 歩いてしまいたい。

 どうせもう辛いのに、無理して走る必要などない。どうせもうゴールだけを夢見ていた僕ではないのだから、無理をして走る必要などない。

 だのに、だのにどうして、歩いてしまいたいとも思えないのだろう。

 歩いてしまって、道程に想いを馳せることもできないのだろうか。

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