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365個の物語  作者: ひなた
霜月 大好きを伝えたくて。
327/365

霜月二十三日

  伝えたい 言葉は一つ ありがとう


 いつも、遠回りな言葉ばかり言っているけれど、今日はまっすぐな言葉を伝える。

 わかりやすく、簡単に。

 私にも君にもわかるように、伝えたいことをはっきりと、そのままに口に出したいと思うの。

 照れちゃって言えない言葉を。何よりも大切な言葉を。

「やっぱ祝日ってのは癒されるよな。毎週、日曜日に休んではいるけど、こう、なんていうか、木曜日に休めるってのが嬉しい。週に二日も休めるってのは、もちろん、それだけで嬉しいんだけど、たまに入れてもらう土曜日の休みより、祝日ってのがなんとも嬉しいんだよなぁ」

 お昼ご飯を作り終えて、私のところへ持って来てくれたそのときに、君はそう呟いた。

 ちっとも辛そうなところは見せないし、平気みたいな顔をして、へらへらと笑って気持ち悪いこと言ってるものだから、労わろうって気持ちも失せるってもの。

 だけどね、ほんとはいつも感謝してるんだよ。

「いつもありがとう。私ね、君のことが大好きなのよ、それに、とっても感謝してるの。これからも、ずっと私の傍にいて、私を守ってくれる?」

 何もしないし何もできない、そんな私は君にとって、荷物でしかないのではないだろうか。

 普段の君の様子を見ていると、不安になる必要がないということはわかっているの。だけど思ってしまった。

 不安になることの方が、君を傷付けるって知ってるのにね。

「あぁ、君が傍にいることを許してくれるのなら、その限りまで傍にいよう。僕に守られてくれることを、君が望んでくれるのなら、君が許してくれるのなら、その限りまで君を守っていよう。許してくれるか?」

 君がそう言う人であることを、知ってはいたのだけれども、嬉しく思えるのだから嫌になっちゃうね。

 元々、何もしないでいいから、不自由な想いはさせないから、傍にいてほしいと頼んで来たのは君の方だ。

 幸せは他人に計り知れることではないので、必ず幸せにできるとは言い切れないけれど、少なくとも君を僕以外からの全てから守る。傷付かなくて済むように、命を懸けて、何を犠牲にしてでも守り続ける。

 そう言ったかしら?

 今になって思えば、それもとても君らしくて、不器用なことだと思う。

 感謝しているわ。ありがとう。

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