霜月二十日
始まりと 同じ季節が 訪れて
終わりと始まり 重なる苦には
春は春、夏は夏、秋は秋。
最初から最後までいっても、それぞれの季節が、途中で分断されるようなことはとてもじゃないけれど起こりえない。
だのに、冬だけは違うのだ。
冬に始まり冬に終わる。そういえば聞こえはいいけれど、冬だけは、最初と最後とに、分断されてしまうのである。
離れ離れ。同じ季節だのに、離れ離れ。
一月二月と寒さに震えて、十一月が訪れて、あぁ十二月寒さに震えて。
手を伸ばしても届かない。寒さに薄らと感じていた寂しさを、この寒さが告げているように思えてならなかった。
あの頃言っていた、あの感覚がまた戻ってきた、それはなんとも寂しいこと。
終わりを意識させられる。
また、始まりが近付いてきているのだ。あの始まりが、あの、始まりが、……あの……始まりが…………。
終わりのときと始まりのときとが、重なってしまったなら、その苦しさというのはどれほどのものなのだろうか。
時間が過ぎ去るのはあまりに早くて、儚さというのを思い知らされて。
「もう終わりなのかしら。もう、終わってしまうのかしら。もう、終わらなくてはいけないのかしら。ねえどうしてなのよ、ねえ?」
問い掛けた声は虚空に消えて、却って終わりを感じさせられる。
このまま全て消えてなくなって、本当に……なんてね。




