霜月十九日
指先が 震えて触れて 熱くなる
すっかり冬と 笑みの広がり
肌が出ていたのは、顔と指先くらいのもの。
温かい恰好に身を包んで、それでも寒いねと笑い合っていたくらいなのだから、極限まで露出はなくしていた。
女の子は、冬でもミニスカを履いているだなんて、とんだ偏見だわ。
寒いものは寒いのだし、厚着くらいしたいに決まっている。
細かい外見なんて気にして、寒いのに耐えているだなんて、そんなの馬鹿らしい。
手袋を忘れてしまったことを後悔して、指先の寒さに震えていると、隣に座った男性がにこっと笑顔を向けてきた。
この男性というのは、あたしの彼氏である。
「寒いね。おまえのことは俺が温めてやるよ、くらいのことを言えたら、君は僕のことを好きになってくれるのかな?」
柔らかい笑顔でそのようなことを言う。
この言葉からもわかるだろうけれど、あまり、男らしいと言ったようなタイプではない。
地味な方ではあるが、素材はとても格好がいいし、何より優しい。
「そんなこと、言わなくたっていいわ。あたしね、もう既にあなたのことが好きだもの。そうじゃなかったら、男女交際なんてするわけないでしょ?」
あたしが笑顔で返せば、何を驚いたのか、びくっと彼は体を震わせる。
その拍子に、彼とあたしの指が触れてしまって、彼は更に驚いて硬直してしまったし、あたしもなんだか恥ずかしくなって、自分でも顔が赤くなっているだろうなってわかった。
うぅ、熱い……。
とっても寒かったのだから、熱いのはいいことかもしれないけれど。でも、恥ずかしいよ、馬鹿。
図らずともって感じだけど、あなたはあたしのことを温めてくれたわ。
「こういうのって、すっかり冬って感じで、悪くはないね。ちょっと、ドキドキするかも」
「なるほど。それもそうかもしれないね。冬は寒いから好きではないけれど、こうした、冬ならではのドキドキって言うの? それに、寒い冬には体を温めようとして、自然と距離が近くなるし」
無意識なのか大胆な彼。
あたし、どうしたらいいのかな?
照れる頬を顔で隠せば、「肌色が全くないな」って彼が笑った。
「手袋もしたら完璧だね」
なんて言うものだから、何かと思ってみれば、可愛らしい手袋を彼は差し出してくれた。
あたしが手袋をしていないのを見て、忘れたのだとすぐに気付いたようで、いつの間にか買ってくれていたらしい。
少しも気付かなかったわ。
「ありがとう。あなたと一緒なら、寒い冬も、幸せで暖かい季節として、過ごせるような気がするわ」
あたしが笑えば彼も笑って、もう冬ってなんて最高の季節なのかしら。




