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霜月十七日
知らぬまま 過ぎにし日々の 白きかな
終わってしまう。必ず、終わりは訪れてしまう。
そのことさえも知らずに、あるいは知っていたけれども意識もせずに、僕はただ日々を過ごしてきた。
僕がそう言うつもりなら、日々の方とてそうなのだろう。
残酷にも、日々は足早に過ぎ去ってしまった。
その間に、何があったかと言えば、それを答えられないのだから、なんとも恐ろしいことであろう。
どこまでも辛い。いつまでも辛い。辛さが過ぎ去った後だからこそ、残る辛さというものを、今になってやっと知っているようなのであった。
もう終わりに傾きつつある今だから、思えてしまうのであった。
あぁ。
今まで過ごしてきた日々の、なんと意味のなく、なんと記憶にも残っていないかということ。
今更とは言うものかもしれないけれど、白という色を、もう少しカラフルに彩れないものかと思ってしまう。柄にもなく、そう思う。
僕だって人並みに憧れはしているのだよ。
終わりが見えてしまっているのだから、尚更、それとて仕方のないことだろう?
知らないままに、過ぎてしまった日々は、白かった。




