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365個の物語  作者: ひなた
霜月 これできっと終わりだから……
320/365

霜月十六日

  霧が晴れ 日入る頃には 君が消え

    見えないままに 見るが白かな


 全部が見えなくなってしまって、君がどこにいるのかがわからないよ。

 何もかもが見えないから、君がどこにいるのかがわからないのだよ。

 見えない。見えない。背景も、存在も、見えなくて、何も知らないままに、君を探すかのようだった。

 なのだから、君を隠すものがなくなることはとても嬉しかった。

 そうしたなら、はっきりと、遂に君のことを知ることができるかと思った。

 

 君を知りたかった。


 白の中に白は見えなかった。

 黒。そう、闇の中だからこそ、見える色というものがあった。

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