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霜月十六日
霧が晴れ 日入る頃には 君が消え
見えないままに 見るが白かな
全部が見えなくなってしまって、君がどこにいるのかがわからないよ。
何もかもが見えないから、君がどこにいるのかがわからないのだよ。
見えない。見えない。背景も、存在も、見えなくて、何も知らないままに、君を探すかのようだった。
なのだから、君を隠すものがなくなることはとても嬉しかった。
そうしたなら、はっきりと、遂に君のことを知ることができるかと思った。
君を知りたかった。
白の中に白は見えなかった。
黒。そう、闇の中だからこそ、見える色というものがあった。




