霜月二日
振り向けば 歩いてきしは 三百を
超えて残るは 六十ばかりに
気が付いてみれば、始まりの鐘をきいたあの瞬間から、あぁ、なんとも、随分とときが経ってしまったものである。
三百日以上も経過してしまって、最後の二月となってしまったわけなのであるけれど、また寒い季節に戻ってきたわけなのであるのだけれど、……。
もう残っているのはたった六十日程度のこと。
早いものだな。最初の頃、何を思って、私はここに示し始めていたのだろうか。
つい最近のことのように思えるのに、そう考えてみれば、思い出すことができなくて、やはり過去のことであるのかと思う。
こんなにも長い時間をいつの間にか過ごしてしまっていた。知らないうちに、それほどまでに多くの物語を、ここに紡いできた。
その全体のエンディングとはどのようなものなのだろう。それを締め括る、最後というのは、どのようなものなのだろうか。どのようなものになるのだろうか。
最初がそれさえ感じさせないほどに自然だったように、自然なままで他となんら変わりなく最後の日も終えるのだろうか。そうして、いつの間にか過ぎ去っていた時間は過去となり、いつの間にか全てが終わってしまっているのだろうか。全てを終えてしまっているのだろうか。
振り返ってみれば、思ったよりも多くの足跡がそこには残っていた。
私はここまで歩んできたのだという証が、そこかしこに残されていた。




