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神無月二十二日
記録より 残したいのは 記憶かな
こんなにも美しいものを、どうして、直接見ようと思わないのだろうか。直接見たいと、そう思わないのだろうか。
せっかくここまで訪れているのだというのに、どうして、見ずにいられるというのだろう。
それが、僕には不思議でならなかった。
今だけしかここにはいてくれないのだよ。この季節にしか、見られないものなのだよ。
それなのに、それなのに、どうして……?
一枚、また一枚と、鮮やかに染まる葉が、舞い落ちていってしまう。
しかし人々は、レンズ越しに覗きはするものの、見上げて、直に見はしないのだった。
見上げてみて柔らかく目を細めるような、いかにもその人までを含めて絵になるような、そんな光景はもう期待できないのだろうか。
どうして。
写真がほしいだけならば、訪れやしなくても、人の撮ったものでいいじゃないか。
君たちの行動は、木々にも、カメラにも失礼に思えてならないよ。
大多数たることを考えたら、この僕の考えこそおかしなものなのだろうか。
僕には、不思議に思えてならないのだよ。




