神無月七日
原因は 凍える北風 愛し君
鳥肌の立つ 寒き夕暮れ
まだ冬というには早い季節だけれど、北風が遂には吹き始め、寒いと感じられるところまでやってきてしまった。
寒いと感じられるであって、寒いと言うほどではないという程度に、寒い秋へとやって来てしまった。
正確には、秋へとやって来たのはもう随分と前のことに思われる日のこと。
秋を感じざるを得ないところまで来てしまったというのが、正しい話なのかもしれない。
それで、どうなのだろう。
私の体を襲っているのは、その原因というものは、やはり君を愛おしいと思い申すことにあるのだろうか。
寒さのせいだと思うのだけれど、鳥肌が立ったなら、君に触れられたためなのではないかと無駄な期待をしてしまう。
寒さのせいだと思うのだけれど、体が震え出したなら、君の活躍をこの耳に聞き入れただとか、そういった特別な慶事が起きる予兆なのではないかと思ってしまうのだよ。
そうした。ああ、そうだ、それぞれというものだ。
しかし私としては、それもまた悲しいことに思えてしまう。
これもまた、寒さという原因を持ってのことなのだろうな。
寒さというのは、それほどまでに、人を狂わせる力を持っているということなのだろうな。
私はそうまでは思えないのだけれど、人の心というのは脆いものだ。
人というのは儚くも脆いものだ。
息子どころか、私は……私は脆く何においても間に合っていないものだ。




