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365個の物語  作者: ひなた
長月 月を見上げて
273/365

長月三十日

  お待たせと 笑う貴方は 優しくて

     どれも等しく 幸となりけり


 今朝、見てみれば、変わらずに曼殊沙華は咲いておりました。

 ですから、見に行こうと貴方に言ったのですけれど、少し待てと制されてしまいました。その後も、何度か言っているのですが、貴方は待てとばかり仰います。

 本当に一緒に来て下さるのかと、疑いたくもなるほどです。

 私が貴方を疑うことは、決してしませんけれど……(n*´ω`*n)

 これ以上、待てとばかり仰るのならば、私だって待ち切れません。

 一人でだって庭へ見に行きます。

 そもそも、貴方がいない頃、庭へくらい私も一人で行っていました。家の中から一歩も出ていないだとか、そういうわけではないのですから。

 最後のチャンスだと勝手に決めて、貴方を誘ってみたならば、頷いてくれたではありませんか。

 私の本気が伝わったということでしょうか?

「お待たせ。せっかく庭へ行くのなら、他の花もついでに近くで見たいだろ。外にはもう机も椅子も用意したから、行こう?」

 あぁ、そういうわけだったのですね。

 右手にはお盆を持ち、ケーキやらクッキーやらマカロンやらがお皿に可愛らしく並んでいます。左手にはティーポットと、二つのティーカップを持っています。

 いかに私が自分勝手であり、対する貴方が私想いの優しい方であるかが、よく知れるようなことでした。

 貴方は花の観賞なんて、私ほど好きじゃないでしょう。

 貴方は甘いお菓子なんて、食べやしないのでしょう。

 それなのに、私のために……。

 恐ろしいと思った気持ちも、少し腹立っていた気持ちも、寂しく悲しいと思っていた気持ちも、不思議を知りたいと思っていた気持ちも。

 私の中の全ての気持ちが、貴方への愛に塗り替えられていくようでした。

 全ての感情が、幸せへと変わっていくようでした。

「ありがとうございます。ありがとう、ごめんなさい」

「よくわからないが、少なくとも謝る必要はないさ。私がしたいことを、私のためにしているだけだからな」

 本当に貴方はお優しいのですね。

 本当に、私のことだけを想ってくれているのですね。

「ありがとうございます。私は貴方が愛しくてなりませんよ、もう、かっこよすぎるんですっ」

 「お待たせ」本文でそれを入れて、良い感じに纏めようとしていますけれど、完全にアウトですよねごめんなさい。

 完璧イケメンのイケメン行動が理由にあるのなら、待たせても良いのかもしれませんが、僕は駄目ですよねはい、反省しています。

 二回目のミスですね。

 二度あることは三度あるとも言いますし、今後このようなことがないよう、気を付けて努力したいと思っております。そこ、諺の使い方がおかしいとか言うんじゃない、これで良いのだ!

 本当に申しわけございませんでした。

 こんな僕ですが、これからもよろしくお願い致しますm(__)m

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