長月二十八日
恋心 暮れる秋の日 冷めゆけば
苦しむことも 消えゆくものか
どんどん寒くなって来て、あたしは気付いたの。
やっぱり冬は好きなんかじゃなくって、あたしは、お花がたくさん咲いている春にしか、生きていけやしないんだわって。
あたしはお花が好き。お花がなくっちゃ駄目。
冬も悪くないなんて、間違えてそう思っちゃったけど、恐ろしいほどの恋心に、初めての感情に、ちょっとおかしくなっちゃってただけなんだわ。
彼のことは好きよ。
この気持ちに間違えはないわ。そして、これからもきっと変わらないはずよ。
それはそう。あたしがもう嫌って思ったところで、好きなものは好きなままだわ。
寒くなっていくのなら、どんどん冷えていくのなら、あたしの気持ちも冷めてしまえばいいのにって。どうしても、そう思ってしまう。
こんなあたしじゃ、お花にも嫌われちゃうかな。
だけどお願い。だれか、あたしの気持ちもわかってほしいの。
大好きって思うのに、その度に性格が悪くなっていくあたしを感じるんだから、恋って変なものよね。
もしかして、だから漢字が似ているのかしら?
あたしの中では、恋も変もそう大差ないってことなのかしら?
それならあたしが恋したことって……。
何を取ってしても、辛い気持ちは辛いままで、恋なんて辛いだけなんて、絶対に言いたくないのに。
大好きって気持ちが生む感情は、幸せであるの。それには違いないの。
ねぇ、あたしって変なのかな。




