長月二十七日
冷えた指 包み温む 体温に
孤独の冬の 蘇る影
まだやはり暑さというものは残っておりますが、九月も暮れとなりまして、寒いと思えるような日も、日に日に現れてきているのでした。
特に夜間や早朝なんてものは、もう寒い日の方が多いくらいになって来ましょう。
寒くなって来ますと、昨年の冬のあの寂しさが、辛いほどに思い出されて来てしまいます。
たった一人で、寒い冬を越えなければならない。
あぁ。その寂しさとやら、心細さやら、哀しさやら。それがおわかりになりますでしょうか?
私は、私には、耐えようもないほどに辛いことだったのです。
心がめげてしまうといけないから、大丈夫だと言い聞かせて、自分を励ましつつも貴方を待っておりました。
しかし貴方が帰って来て下さった今だからこそ、私は言えるのです。
もう駄目になってしまいそうなほどに、貴方のことが恋しかったと。
目覚めたときに、布団の温かさの他に、人の温もりを感じられるということが、どれほどにありがたいことであるのかと。それが愛しい人であるのですから、より強くそれを感じます。
いつも私よりも貴方の方が体温が高いですよね。
ですから、私は貴方に触れて「温かい」と。貴方は私に触れて「冷たい」と。
お互いにお互いの体温を共有するのが、起きてすぐの日常となっています。
冷え性の私と暑がりな貴方となのですから、それも仕方ないのかもしれませんが、なんだか笑えて来るような話です。
あぁ。愛おしいですよ。
こうして笑える時間がずっと続けばと、そのように思ってしまいます。
無駄な望みと知っておりますのに。
永遠を望むということが、何よりも罪深いと、知っておりますのに。
本に頼り悟った気になっていても、所詮は私も人の子ということですかね。
「貴方と一緒でいられるのなら、私が何であろうと、私は構いませんけれど」
声に出ていた呟きに、首を傾げました貴方。
慌てて私が「なんでもありません」と笑みましたら、何を思ったか「無理するなよ」などと仰いまして、貴方は私の指にその温かい指を絡めて来ました。
これが幸せなのだと、その度に感じる熱でした。
幸せで爆発するほどの、熱い熱なのでした。




