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365個の物語  作者: ひなた
長月 月を見上げて
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長月二十七日

  冷えた指 包み温む 体温に

    孤独の冬の 蘇る影


 まだやはり暑さというものは残っておりますが、九月も暮れとなりまして、寒いと思えるような日も、日に日に現れてきているのでした。

 特に夜間や早朝なんてものは、もう寒い日の方が多いくらいになって来ましょう。

 寒くなって来ますと、昨年の冬のあの寂しさが、辛いほどに思い出されて来てしまいます。

 たった一人で、寒い冬を越えなければならない。

 あぁ。その寂しさとやら、心細さやら、哀しさやら。それがおわかりになりますでしょうか?

 私は、私には、耐えようもないほどに辛いことだったのです。

 心がめげてしまうといけないから、大丈夫だと言い聞かせて、自分を励ましつつも貴方を待っておりました。

 しかし貴方が帰って来て下さった今だからこそ、私は言えるのです。

 もう駄目になってしまいそうなほどに、貴方のことが恋しかったと。

 目覚めたときに、布団の温かさの他に、人の温もりを感じられるということが、どれほどにありがたいことであるのかと。それが愛しい人であるのですから、より強くそれを感じます。

 いつも私よりも貴方の方が体温が高いですよね。

 ですから、私は貴方に触れて「温かい」と。貴方は私に触れて「冷たい」と。

 お互いにお互いの体温を共有するのが、起きてすぐの日常となっています。

 冷え性の私と暑がりな貴方となのですから、それも仕方ないのかもしれませんが、なんだか笑えて来るような話です。

 あぁ。愛おしいですよ。

 こうして笑える時間がずっと続けばと、そのように思ってしまいます。

 無駄な望みと知っておりますのに。

 永遠を望むということが、何よりも罪深いと、知っておりますのに。

 本に頼り悟った気になっていても、所詮は私も人の子ということですかね。

「貴方と一緒でいられるのなら、私が何であろうと、私は構いませんけれど」

 声に出ていた呟きに、首を傾げました貴方。

 慌てて私が「なんでもありません」と笑みましたら、何を思ったか「無理するなよ」などと仰いまして、貴方は私の指にその温かい指を絡めて来ました。

 これが幸せなのだと、その度に感じる熱でした。

 幸せで爆発するほどの、熱い熱なのでした。

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