長月二十六日
花弁が 落ちゆくような 儚さに
重なる紅葉 君の横顔
紅葉が見たいと、そう言われたものだから、私はすぐに調べて用意をした。
より安全に、より美しい紅葉を楽しめる場所を探した。
「実際に見てみますと、想像していたよりも、もの寂しさを感じさせますね。あぁ、そんな悪いものでもないと、そう思いたくて来ましたのに、なんだか逆効果だったようです」
嬉しそうな微笑みで木々を見上げつつ、愛しい彼はそう呟いた。
「ただ、美しさはやはり間違えありません。決して寂しいだけではなくて、その美しさというものも、きちんと抱えているようで、……安心しました」
彼の言っている言葉の意味が、全て私が理解しているとは言いがたい。
半分、いやむしろ、そのほとんどが、私にはわからないことなのだろう。賢いふりに逃げて、剣を振るった私とは違い、本当に賢くて、天性の才能を持っている上に努力を重ねているのだから。
わかっていたかはともかく、私は彼の言葉を咀嚼して、ぎゅっと軽く抱き締めた。
何があっても壊してしまうことはない。何があっても守ってあげられる。
それくらいに、軽く抱き締めて、包み込んだ。
「貴方に言われたとおり、厚着をして来ましたよ?」
私の胸の中で頬を膨らませてみせる彼は、可愛らしくて美しくて、それなのにどこか……儚さもあるようで。
紅葉は花のように儚く散るとはいうけれど、私の胸の中にいる、この人もそう思えるというもの。
本人はその美しさに、気付いてもいないようだけれど。




