長月二十二日
かぐや姫 悲し私を そう呼んだ
甘い唇 交わす愛情
不思議なものですね。
一人で過ごす時間はあまりに長いというのに、二人で過ごす時間は、とても短く感じられてしまうのです。
それが寂しくて、この幸せはすぐに終わってしまうような気がして、瞳に涙が溜まってしまうのを、私は止められませんでした。
面倒な私のことを、それでも貴方は愛してくれるのですね。
「どうした。月の都に帰るとでも言うんじゃないだろうな」
「え、どういうことです?」
突然のお言葉に驚いて、訊ねた私に頭を撫でつつ仰いました。
「かぐや姫の話にあるように、美しい人だから、かぐや姫と同じように、月の都に帰ってしまうのではないかと、不安になったのだよ。貴族が来たって帝が来たって、守ってやる自信はあるけれど、帰らなければいけないと言われたら、止められはしないだろう」
こんなにもはっきりと褒められたなら、照れてしまってなりません。
月を見上げて悲しむのは、たしかにそれは、かぐや姫と思われるのかもしれませんね。
生憎、私を愛して下さるようなもの好きは、私のために命を捧げて下さるようなもの好きは、貴方くらいしかいないようですが。
いえ。生憎ではなく、喜ばしいこととも取れますね。
貴方だけが愛して下さるというのは、嬉しいことなのです。
「私は貴方のために生まれてきたのです。貴方の隣でしか、生きられないのです。ですから、冗談でもそのようなこと仰らないで?」
「そうだな。私も、自分で言っていて、本当になったら恐ろしく思えた。きっと帰りたいと言われたら、監禁してでも、逃がさないようにしてしまうだろう」
意地悪な顔をして、貴方は私の唇を啄みました。
柔らかくて、甘くて、また好きになっているのを感じました。




