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365個の物語  作者: ひなた
長月 月を見上げて
265/365

長月二十二日

  かぐや姫 悲し私を そう呼んだ

    甘い唇 交わす愛情


 不思議なものですね。

 一人で過ごす時間はあまりに長いというのに、二人で過ごす時間は、とても短く感じられてしまうのです。

 それが寂しくて、この幸せはすぐに終わってしまうような気がして、瞳に涙が溜まってしまうのを、私は止められませんでした。

 面倒な私のことを、それでも貴方は愛してくれるのですね。

「どうした。月の都に帰るとでも言うんじゃないだろうな」

「え、どういうことです?」

 突然のお言葉に驚いて、訊ねた私に頭を撫でつつ仰いました。

「かぐや姫の話にあるように、美しい人だから、かぐや姫と同じように、月の都に帰ってしまうのではないかと、不安になったのだよ。貴族が来たって帝が来たって、守ってやる自信はあるけれど、帰らなければいけないと言われたら、止められはしないだろう」

 こんなにもはっきりと褒められたなら、照れてしまってなりません。

 月を見上げて悲しむのは、たしかにそれは、かぐや姫と思われるのかもしれませんね。

 生憎、私を愛して下さるようなもの好きは、私のために命を捧げて下さるようなもの好きは、貴方くらいしかいないようですが。

 いえ。生憎ではなく、喜ばしいこととも取れますね。

 貴方だけが愛して下さるというのは、嬉しいことなのです。

「私は貴方のために生まれてきたのです。貴方の隣でしか、生きられないのです。ですから、冗談でもそのようなこと仰らないで?」

「そうだな。私も、自分で言っていて、本当になったら恐ろしく思えた。きっと帰りたいと言われたら、監禁してでも、逃がさないようにしてしまうだろう」

 意地悪な顔をして、貴方は私の唇を啄みました。

 柔らかくて、甘くて、また好きになっているのを感じました。

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