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365個の物語  作者: ひなた
睦月 寒さを楽しむ余裕
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睦月二十六日

  梅の花 先を仄かに 染め始め

    照れているよな 愛らしさかな


 寒さは得意ではありませんが、この頃は、その良さというのもやっとわかり始めたのです。

 一年中が春だったなら、いかに過ごしやすかったことでしょう。

 ずっと春だったら良いのにと、願う気持ちがあるから、私はそう思うのです。

 しかし私は、四季があることにこそ、魅力があるのではないかとも思うのですね。

 冬。冷え性の私にとって、それは耐えがたい季節ではあります。

 着込んでも着込んでも寒くて、凍えてしまいそうな心地です。

 これを書いている今も、手が震えてしまって、……そのせいで、文字も震えてしまっていけませんね。

 分厚い手袋をしていては、文字など書けませんし、あまり何枚も着ていては、少し動こうにも雪達磨にでもなったようです。

 嫌だ嫌だ、寒いのは嫌だ、冬なんて嫌だ。

 そんな私がどうして、冬の良さなどを言う気になったのかと言いますと、それにはもちろん理由がありましてですね。

 私の家の庭に、梅の木があることは貴方も知っていましょう?

 まだ花が咲くには至っておりませんが、蕾を見つけたのですよ。

 寒さに怠けて、家に引き込まったままでは、おそらくそれに気がつくこともできなかったでしょう。

 ずっと家にいることへの戒めと、我が娘のように愛らしいそれを眺めるのと、それらの意味も込めまして、私はその梅の前におります。

 ちょうど、蕾が家の方を向いてくれているものですから、家の中から見ることができるのです。

 最初は外に出て書こうかとも思いましたが、それは寒さの問題ではなく、机もなく文字を書くのは難しいと思いまして、きちんと机に向かい、窓を開けて書くことにしたのです。

 窓越しでは、よく見えなくて困りますから。

 ここまで書けばわかりますでしょう?

 手紙とともに、私の描いた美麗イラストを封入しておきましょう。

 貴方がそれを下手だと笑うのはわかっております。ですから、本物を見にいらっしゃい。

 そして、貴方の上手な絵を見せて、また去年のように、私に絵を教えて下さい。

 あぁ、あまり書くと、文字の嫌いな貴方は、最後まで読んでくれないのですよね。これくらいなら、最後まで読んで下さいますかね。

 ……待っていますから、今年も待っていますから、是非、いらっしゃいね……。

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