246/365
長月三日
柔らかく 微笑む君の 表情は
秋の夜長の 月の如しと
何を思っているのか、君は夜空を見上げ、切なげな表情をしていた。
声を掛けたなら、微笑んでくれたけれど。
「今日は満月、とっても綺麗な月よ」
君がそう言ったので、僕も夜空を見上げてみたけれど、そこに満月など浮かんではいなかった。
「そうだね。とっても綺麗だ」
だけれど、君は綺麗な月なのだと、今日は満月なのだと言った。
ならば僕の口からそれを否定することはない。
それに僕にとってみれば、月などなくても、綺麗な君がいてくれたなら……なんて。こんな言葉は気障だろうか。
僕からすれば君の方が美しいなんて、ありふれた言葉だろうか。
「どうかしたの?」
ふわりと柔らかく微笑む君は、なんと淡いことだろう。
なんとも綺麗な月か。




