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365個の物語  作者: ひなた
睦月 日常を取り戻しつつあるという幸せ
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睦月二十日

  指先は あまりの寒さに 固まって

    宿題よりも やっぱストーブ


 今日は宿題が多い。

 学校から帰ってきて、すぐにでもやらないと終わらない量だ。むしろ、帰ってきてから寝る時間まで、ずっとやり続けていても終わらない量だろう。

 こんな馬鹿みたいな量を出すなんて、先生は計算が出来ていないんじゃないかと思う。

 しかし出されたからには、きちんと解いて、提出しないわけにもいかない。

 仕方がないから僕は、帰宅後筆記用具と宿題を取り出し、勉強机につく。

「ふぅ~」

 大きく息を一つはいて、シャーペンを握り締めた。

 そして解き始めるのだが、なかなかスムーズに進めることが出来ない。

 それは、僕が問題を解けないとか、そういうわけではない。

 答えはわかっているから、それを書こうとしているのだけれど、思うように手が動いてくれないのだ。

 この寒さのせいだろうか。

 まるで指先が凍ってしまったようである。動かそうとしても、滑らかな動きは全く期待出来ない。

 諦めずに挑戦し続けるのだけれど、ガクガクと震えた文字や、角だらけになった四角い文字しか書くことが出来なかった。

「一旦、今は諦めるとしよう」

 こんな状態では、宿題など勧められたものではない。

 僕はストーブのあるリビングへと向かい、凍ってしまった指を融かすことにする。

 ドロドロの液体に、それどころか蒸発して気体になってしまうくらいにまで、指が融けたなら、もう一度宿題には挑むことにするかな。

 僕はギリギリまで戦ったのだから、これで終わらなかったとしても僕のせいじゃないよね?

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