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365個の物語  作者: ひなた
文月 懐かしい日
197/365

文月十六日

  夏祭り 浴衣の裾を 揺らす君

    始まる夏の 恋の予感かな


 今日は夏祭りと花火大会へ行くのだ。

 メンバーは、同じクラスの仲良し六人組。男子が四人で女子が二人だった。

 とはいえあくまでも友達なのだから、誰が好きだとか、恋愛のようなものは少しもないし、そういったもので友情を壊すつもりはない。

 僕を含めて、それはきっとそうだろう。

 集合場所へ集合時間に、それぞれ浴衣で集まっていく。

 それで六人で夏祭りを満喫する。

 事前に決めていた通り、何もかもが完璧に進んでいる。

 僕達の友情は今日、更に深まり、離れることのない素晴らしい友達であり続けるのだ。

 だったのに、一つ、想定外のことが起こってしまった。

 予定に組み込まれていなかったことが、僕達の完璧な計画の間に入ってしまったのだ。

 夜。暗くなってのこと。

 これから花火も始まるので、花火を見ようと決めていた場所へ、皆で移動をしていた。

 その途中で逸れてしまったのである。

 僕は君と二人きりになってしまっていた。

 想定外は、想定外の感情を生む。

 二人きりで歩いていると、君のことが気になって仕方がなくて、浴衣姿の君に惹かれてしまっていた。

 大切な友達なのだから、恋愛感情が芽生えることはない。

 恋愛感情を芽生えさせることは、僕達には許されない。最も重い禁忌だ。

 それなのに、ドキドキしてしまって……。

 夏を楽しいに思う気持ちだと、言い聞かせるのだけれど、どうにもならなくて僕は。

 僕は君のことが、なんて。

 友達は友達。どこまで行っても友達。

 決して、友情と愛情は重ならない。友と恋は正反対。

 完璧な関係でいられるのだから、僕の所為で、この友情を壊してしまいたくないよ。

 バレたときが終わりのときと、重大な秘密を抱えて、禁忌に縛られながらも僕は微笑んだ。

 まだ、この気持ちの良い場所にいたいから。

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