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365個の物語  作者: ひなた
文月 夏の日の夢
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文月十日

  見上げれば 眩いほどの 星々に

      言の消ゆるよに 夢を見ゆかな


 見上げればそこに広がっているのは、プラネタリウムでしか見たことがないような、美しい星空なのであった。

 ああ、なんという感動だろう。

 元より星が好きで、プラネタリウムもよく見るのだが、それとは全く異なる感動だ。これだから、本物の星空というのは、美しくて困る。

 昼間でも見られる、あの創られた星空など、ただの映像でしかないのだと、その差を見せつけているようではないか。

 どう言ったら良いのだろうな。

 美しいだとか、幻想的だとか、そういった言葉でしか僕はこの光景を言い表すことができない。

 けれどそんな言葉では、ほんの少しも、欠片さえもこの魅力を伝えることができていないのが、痛いほどにわかるんだ。切ないほどにわかる。

 実際に見なければ、言葉では伝わらないものというものもあるのだと、そう認めざるを得ない。

 こればかりは、どうしようもない。

 それに今、僕はこの星空を説明しようとしているが、本来ならばそれもするべきではない、できるべきではないのだろうこと。

 僕の伝えんとしていること、これではわからないかもしれないが、きっとこの場にいたならば、だれだってそう思うことと思う。

 発しようとしていた言葉も、消えて行ってしまうような、眩しい星空。

 この輝きの前には、強いのに儚いこの星空の前では、何もかもが消えてしまう。消えなければいけないというような、使命感に囚われるというところもあるかもしれない。

 今の僕だって、そうだ。

 夢の中かと思うけれど、想像力の限界をも超える美。

 あぁ、素晴らしいものは夢のようと思うものだが、あまりに素晴らしいと、反対に現実であると思えるものだな。

 たとえ夢でも、もう一度この景色を見ることができたなら……。

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