文月六日
年一度 溜めた涙の 零るる日
毎日毎日、嫌になるくらい、私は働き続ける。
遠距離での恋愛なんて、無理な恋をしてしまったがゆえに、苦しんでいるのだということは、周りに言われなくともわかっている。
けれどね、その苦しさだって補い余るくらい、幸せの多い恋なのよ。
それに、諦めることができるような、その程度の恋なんかじゃないのっ!
そのためなら仕方がないと思うけれど、本当に仕事ばかりで、嫌にもなるというものだわ。
河を越えたその先の国で、貴方も私と同じように、切なさの中で休む間もないほどに、働かされ続けているのだろうか。
私はみんながどうしたいのかわかる。だからこそ思惑どおりにはなりたくない。
苦しい思いをさせることにより、諦めさせたいんでしょ? きっと私がこの国内で恋愛をしたならば、うんと優しくしてくれるんだろうね。
そう思ったら、ますます従いたくない。
そんな理由で貴方を愛しているのでは、もちろんないのだけれど、反対にそれが愛を燃えさせているのだろうことは私も感じる。
障害のある恋愛の方が、結局は絆が強くなるということかしら。
それにしても、働くのは頑張ればいいだけだけれど、泣いてもいけないというのには辛いところがある。
泣くほど悲しいのなら、そう言って、私の恋を否定するんだ。
今日だけは、心置きなくなくことができる。
「明日にはあの人と会えるという、嬉し涙よ」
そう言ったなら、何も言い返せやしないんだから。
一年にたった一度しか会えない恋人だけれど、それだから長続きするところもあるかもしれないし、何はともあれ貴方と恋愛ができて私は幸せなのよ。
明日、必ず会いましょうね。
何にも邪魔されずに。何にも負けずに、必ず会いましょうね。




