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365個の物語  作者: ひなた
文月 星に願いを
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文月六日

  年一度 溜めた涙の 零るる日


 毎日毎日、嫌になるくらい、私は働き続ける。

 遠距離での恋愛なんて、無理な恋をしてしまったがゆえに、苦しんでいるのだということは、周りに言われなくともわかっている。

 けれどね、その苦しさだって補い余るくらい、幸せの多い恋なのよ。

 それに、諦めることができるような、その程度の恋なんかじゃないのっ!

 そのためなら仕方がないと思うけれど、本当に仕事ばかりで、嫌にもなるというものだわ。

 河を越えたその先の国で、貴方も私と同じように、切なさの中で休む間もないほどに、働かされ続けているのだろうか。

 私はみんながどうしたいのかわかる。だからこそ思惑どおりにはなりたくない。

 苦しい思いをさせることにより、諦めさせたいんでしょ? きっと私がこの国内で恋愛をしたならば、うんと優しくしてくれるんだろうね。

 そう思ったら、ますます従いたくない。

 そんな理由で貴方を愛しているのでは、もちろんないのだけれど、反対にそれが愛を燃えさせているのだろうことは私も感じる。

 障害のある恋愛の方が、結局は絆が強くなるということかしら。

 それにしても、働くのは頑張ればいいだけだけれど、泣いてもいけないというのには辛いところがある。

 泣くほど悲しいのなら、そう言って、私の恋を否定するんだ。

 今日だけは、心置きなくなくことができる。

「明日にはあの人と会えるという、嬉し涙よ」

 そう言ったなら、何も言い返せやしないんだから。

 一年にたった一度しか会えない恋人だけれど、それだから長続きするところもあるかもしれないし、何はともあれ貴方と恋愛ができて私は幸せなのよ。

 明日、必ず会いましょうね。

 何にも邪魔されずに。何にも負けずに、必ず会いましょうね。

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