表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
365個の物語  作者: ひなた
文月 星に願いを
184/365

文月三日

  願い事 何にしようと 悩む末

    飾る短冊 かの優しみか


「短冊に願い事を書くのよ。そうしたらね、七月七日の七夕の日、晴れたらお星さまに届くんだわ。流れ星が願いを叶えてくれるのはわかるでしょう? お星さまは、みんなの願い事を見て、それを叶えてくれるの」

「「「えー、すごーい! おほしさますごーい!」」」

 あたしの言葉に、子どもたちは瞳を輝かせて、我先にと短冊とペンを取る。

 次々に願い事を書いて、用意された笹に飾っていく子どもたちを見ていると、ただ一人だけ、一つも書いていないことに気が付いた。

 よく意味がわかっていないのだろうか。

「ここにお願いしたいことを書けばいいのよ。文字は書ける?」

「うん、書けるよ。だけどね、何をお願いしようかなって、困ってるの」

 なるほど。願い事を悩むとは、この年代の子どもらしからず慎重な子なのだろう。

「たくさん願いを書いても大丈夫だから、迷っているのなら、すべて書いたらいいんじゃないかしら」

 飾る場所も用意した短冊も、もうなくなってしまいそうだったので、あたしはそう言って頭を撫でてあげる。

 その後、あの子が何を書いたのか気になって、笹をあたしは確認してみた。


 ”くまのおにんぎょうを、かってもらえますように”

 ”あたらしいげーむがほしい!”

 ”ぱぱとままとあそびにいきたいように”


 平仮名で書かれた願い事、ゆらゆらと揺れて空を無邪気に想う。

 いきたいように、というのは、行けますようにということなのかな?

 少し間違えているところも、可愛らしいと思える。

 そんな中で、やっとあの子の名前を見付けることができた。


 ”みんなのおねがいが、かないますように”

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ