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水無月十八日
夏色の 恋の遠さに 目の眩む
まだ六月だというのに、君は夏を満喫していた。
「楽しそうだね」
僕が言うと、
「そういうわけではないわ」
なぜだか君は否定をした。
どうしてなのか、僕にはわからなかった。
君が海やプールで遊んだり、アイスクリームやかき氷をたくさん食べたりするのは、別に勝手だと思うのだけれど、暑い日もあるけれどまだそうするには寒い日の方が多かろう。
理由を尋ねてみたけれど、君は意味深に笑うだけだった。
「夏が好きなのかい?」
僕の質問に、君は今まで見せてくれなかった、幸せそうな顔をしてくれる。
「あたし、夏は嫌いなのよ。一年の中で、圧倒的に、最も嫌いな季節だと言えるわ」
それならどうして。質問を続けようとしたけれど、僕にはそれができなかった。
そんなにも儚げな顔をされてしまったなら、野暮なことは聞けやしなかった。
暑いのが苦手だから。君が夏を嫌う理由は、そんな単純なものではないのだと、わかってしまったから。




