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水無月九日
艶やかな 薔薇が怪しく 闇を打つ
滴る水の 上品さかな
美しい薔薇が咲いていた。
本当に美しくて、恐ろしくなるほどの、美を象徴するかのような花が咲いていた。
梅雨時期の曇天の下、暗くなる気持ちも、鮮やかに色づかせるような花である。
その姿はただの花とは思えない。
ひどく艶やかで、艶めかしく、罪深い色をしていた。その美しさは色っぽく、怪しいものであるのに、純情な上品さも持っているのだから不思議だ。
今は止んでしまったけれど、先程までは雨が降っていた。
その雨水がまだ残っているようで、花弁には、ところどころ水が滴り落ちている。
そんな姿でさえも、あぁそうだ、滴り落ちる雨水でさえも、甘い蜜に見せるのだ。
これぞ薔薇というものの、刺を持つ美しき花の魅力か。




