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水無月八日
哀しみを 偲ぶ心に 雨は降る
いつまでも忘れられないあの日の記憶。
哀しくて、辛くて、けれども大切なあの日の記憶。
あの日というよりも、あの日々、あの日以前といった言い方をした方が良いかもしれない。
忘れたい。何度、そう思ったことか。
忘れたくない。何度、そう願ったことか。
そうして何度、この切なさを味わったことか。
この哀しみを忘れられないままに、残してもおけず、心の中にだけ半端に影を落として。それで私は、中途半端な場所で、閉じ込められてしまっている。
梅雨の時期に降り続く雨。変わらない雨音。
その音が心の奥底でも響いていて、悲しみを増幅させるようだった。
見上げた空は、今日も泣いている。




