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365個の物語  作者: ひなた
水無月 それでも雨は降り続ける。
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水無月五日

  傘の下 俯く瞳 暗闇を


 みんな、下を向いている。

 みんなが俯いているものだから、とっても、暗い街かのように思える。

 雨なのだから、傘をさしているのは、当たり前のことだよ。そりゃまあ、だれだって雨が降っていたら、傘をさすに決まっている。

 あえて傘をささないのだとしたら、余程の事情があるんじゃないかな。

 でも悲しいのは、傘をさしていると、みんなが俯いて見えるということ。

 上を向いても何も見えないのだから、傘の中で上を向きはしないだろうけれど、みんながみんな俯いているというのは、私は悲しいことのように思える。

 昼間のはずなのに、雲に覆われた世界は、明かりを知らないように暗い。

 夏を前にした、梅雨という暗い季節は、街を絶望へと誘うかのように思えた。

 実際はいくら憂鬱そうな顔をしていたって、俯いていたって、だれも絶望まではしていないのだろうけれど。

 だけれど私には、そのように思えてならないのであった。

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