水無月三日
しとしとと 落つる雨音 変わらずに
落ち込む胸も 落ち着きけるかな
今日の天気を作っているのは、とても真面目で、几帳面な神様なんだろうと思う。
だって少しも変わることもなく、朝からずっと、雨が降り続けている。強くなることも、弱くなることもなく、一定に。
一定の音も同じように響き続けている。
雨の強さが変わらないのだから、音が変わるものでもないだろう。
あまりに雨が降り続くものだから、最初はとても、気が滅入って仕方がなかった。
けれども不思議なものだ。一日が過ぎてみれば、そんなことでもなくなっているのだ。
耳障りになるほどは五月蠅くなくて、どこか温かさまでも覚えるような音。
だからこそ、少しばかり落ち込んでいた心も、平静を取り戻しつつある。それどころか、普段よりも極めて落ち着いて、冷静な視点から世界を見ることができているとすら思える。
長く続いていたせいで、慣れてしまったのだろうか。
鬱陶しいとも思えることのあった雨が、心を落ち着かせるものにまでなっているとは。
雨。考えるほどに、実は趣のある、素晴らしいものなのかもしれない。




