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皐月二十一日
鼻先を 撫でる優しい 春の風
髪を揺らす暖かな春の風が吹く。もうそんな季節は終わってしまったかと思ったのに、まだ、春は春であるということらしい。
三月の風とはまた違う。
けれども同じ春らしさを持つ、五月の風というものをたしかに感じた。
緑色の葉、夏の近付いていることを知らせてくれる。
目で、皮膚で、春から夏へ向かっていく、爽やかな季節を感じさせてくれる。
鼻先を掠めて抜けていった、その風は特に春らしく、暖かくて優しさというものがこもっていた。優しさで包み込んでくれるような、そんな力を持っていた。
春の香りはふわりと香って、心の奥底から癒してくれるのであった。




