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皐月二十日
過ぎたるは 限りの値をぞ 届かざる
ほしかったもの。求め続けていたもの。
それは近くにあったりして、それは……もう手に入れてしまっていたりして。
なのにそのことに気が付かないで、限りなく求め続けてしまうのは、どんなに悲しいことなのだろうか。苦しく、辛いものなのだろう。
過ぎ去ってしまった時間の大切さも、必死に伸ばしたこの手の指も、知らなかったのだろうから。
可哀想だよね、みんな、みんな、みんなみんな、とっても可哀想。
時間という何よりも大切なもの。何よりも大切なのに、その大切さというものに気が付くのは、残される時間がごくわずかになってから。
取り返したいとどれほど願っても、何を犠牲にしようとも、取り返すことなどだれにもできない。
作り変えることなど、だれにもできない。
限られた値というものを、越えていこうと望もうところで、どんなに力を持った人も、そこへ届くことがないのだ。
決して、届くことがないのだ。




