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365個の物語  作者: ひなた
皐月 春の風、吹き去りていく。
135/365

皐月十五日

  手を伸べた 木々の指先 届かずに

      ただ吹かせるる 何も言わずに


 高い方の枝が、僕たちに合わせてくれているかのように、すぐ近くの低いところにまで降りてきてくれている。

 そんなはずがないのに、なんだか意志を持って、僕たちの方へと手を伸べてくれているように、そう思えてならない。細い枝がふらふらと目の前に現れて、ひらひらと葉を揺らす。

 差し伸べてくれている手を、僕はそっと触れてみようとする。

 しかしそれは叶わずに、手を伸ばしたなら、枝は高くへと舞い戻ってしまう。

 近くにあるその手を、実際に触れることは許されないということだろうか? それとも、そんなに甘くはないのだと、多角を目指して見ろと、そう告げてでもいるのだろうか?

 もちろん、答えなど返って来るはずもない。

 相手はただの木なのだから、言葉など知らず、風に吹かれて揺れているだけ。

 そうは思いつつも、偶然というには強い意志を感じられるその姿に、僕は力をもらっているのであった。

 無言の強さというのはこういうものなのだろう。

 僕たちが目指すべきなのは、こういった姿勢なのだろう。それを示してくれているようで、……。

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