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卯月十八日
花の美が そんなに悲しい ものならば
永遠なんて 望まぬものを
やっと咲いたと思ったのに、花はもう散ってしまうんだね。
待っていたものであるからこそ、呆気なく終わってしまうのが、ひどく悲しく思えてならないのだよ。
咲き続ける花などないと、そんなことは、だれだって初めからわかっている。すぐに散ってしまうことくらい、花が咲く前から、ちゃんと僕は知っていた。
けれどもその儚さからなる美が、こんなにも悲しさを帯びているとは、……知らなかったんだよ。
悲しくて辛いような、そんな美しさだというのなら、最初から悲しむ準備で散り際を見よう。
そう思えるくらいに、僕は強くなったはずだけれど、心のどこかで望んでしまっていたんだ。この花が、ずっと咲いていてくれたなら、永遠というものが存在したなら、と。
春の陽気に冒されてしまったのかもしれないね。
はぁ。こんな気持ちになるんだったら、永遠なんてもの、望まなかったものを。




