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365個の物語  作者: ひなた
卯月 花から葉へと↓
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卯月十六日

  花から葉 新たな季節 廻りゆく


 新しい季節が、また始まってしまうのですね。

 冬から春になっていくのは、あんなにも寂しいことでしたのに、春から夏に変わるのは、こんなにも幸せなことなのでしょうか。

 それはきっと、貴方が隣にいてくれるからなのでしょう。

 寒い冬を乗り越えて、暖かな春がやってくることが、寂しいはずなどありません。

 ありませんのに、私にとっては寂しくて仕方がない、とても辛いことだったのです。

 季節が廻ることは、悲しいことではありません。

 けれど貴方が戻らない季節を、いくつも一人で過ごしていると思ったら、悲しくて寂しくて……。

「どうして笑ってくれないの? せっかく帰ってきたのに、どうして、笑ってくれないんだよ」

 貴方が優しくしてくれるからこそ、我慢していた寂しさが、今更になって溢れてくるのでした。

 今は少しも寂しくありませんのに。

 今は貴方といられる、とても幸せなはずですのに。

「嬉しくないの?」

「ううん、そうじゃありませんよ。あまりにも、嬉しすぎるんです。本当に嬉しくて、堪らないんです。だからなんだか、まだ信じられなくて、……ごめんなさい」

 謝った私の肩を抱き寄せて、貴方は男らしい笑顔を浮かべてくれました。

 新しい季節は、貴方と一緒にいられる、そう思うと幸せで壊れてしまいそうでした。

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