3、エタる原因
ざっと検索してみたところ、なろう小説の半分以上は完結している。1話完結の短編作品が多いからだ。
短編として一つの話をまとめる難しさは今は脇に置いておき、このことから見えてくるのは、最初から短い話を完成させてから発表すれば『未完放置』とは無縁だということ。
多くの作品は壮大な『長い話』を書こうとするから完成しないのだ。
私が最初の連載を休止しちゃた一番の原因もこれで、初めての作品なのにいきなり長い話を書き始めちゃったのがいけなかった。
――それでは、2番目のエタる原因は何かと聞かれれば、私は『モチベーションの低下』だとはっきり断言する。
私を含め誰もが最初は『その作品』を書きたいという内なる欲求によって、連載を始めることだろう。
そして、この『書きたい思い』が、盛り上がっているうちは更新し続け、連載は止まらないのだ。
要するに、何らかの要因で『書きたい思い』が低下して、他の衝動(面倒、遊びたい、他の作品を書きたい等)が上回るから続きを書かなくなる。
この『モチベーション低下』の要因は複数あるが、ここでは代表的なものを2つ上げてみよう。
1、作品が不人気で読んでくれる人が少ないから。
小説家になろうには作品の人気をはかる指標として、ポイントなるものが存在している。
誰かが作品をお気に入り(ブクマ)してくれれば+2ポイントになり、さらに評価されると点数がそのままポイントになって、文書とストーリーがそれぞれ5点満点評価だから、ブクマと合わせて一人の読者から最高+12ポイント入れて貰えるのだ。
残酷なことに人気作品とそれ以外とのこのポイント格差は激しく、ランキングに載っているような数千から数万もポイントがある作品はほんのごく一部で、なろう作品の実に9割以下は100ポイント以下だという。
いくら書いても書いても読んで貰えないのでは、続きを書く気が失せるのは当然である。
目標が高くて、他の人から見たら充分なブクマ数なのに、本人は少ない、伸びないとがっくり来てる、なんていうのもこれに入る。
(ちなみにこの連載も今のところブクマ0であるが、誰だか知らない優しい人が評価ポイントを入れてくれた模様。ありがとうございます)
2、ブクマが伸び悩む停滞期に入った。または更新すればするほどブクマが剥がれるという魔のサイクルに陥ったから。
1とは逆に、ある程度人に読まれてポイントを稼いだ作品にありがちなのがこれだ。一度でも日間に乗って駆け上がったことがある長期作品にはお約束の現象といえよう。
まさに私の作品『喪女がビッチ〜』も見事にブクマ減少のサイクルに入っていた。
停滞しているならまだマシだが、書けば書くほどポイントが減るのに、書き続けるのは結構きつく、多くの作品がこの状態を乗り越えられず、更新停止という悲しい結果を迎えたことだと思う。
3、その他。
新作が書きたくなった。感想欄が荒れた、ネタ切れ。スランプ。物語の風呂敷を広げ過ぎて、複雑になってきて整合性を取るのが難しく、手に負えなくなった。私生活や他の趣味で忙しくなった。単に飽きた、等々。
モチベーションが低下する理由は他にも、それこそ書き手の数だけあると想像される。
いずれにしてもその作品に対する『創作意欲』が減退して、他の『意欲』『感情』『事情』が上まわったのだ。
その作品への情熱、書きたいという強い欲求さえあれば、人はどんな忙しくても時間を見つけて、休憩時間、寝る間を惜しんででも書き続けるからだ。
さて、上記のエタる原因を踏まえて、次に『エタることは悪いことなのか』という根源的なテーマについて触れてみたい。