始まり
散々言ってた新作のものではないのですが、書きたくなって書いてみました
戦争が世界を覆って10年の月日が流れた。
水と資源をめぐって、大国同士が衝突を繰り返し、環境汚染は深刻化。
何百もの島々が海中に没し、島から逃れた人々が軍隊を結成。
大国が疲弊していたところをついて、勝利を繰り返した。
結果、戦争は大国の戦争から、先進国と途上国の戦争にシフトした。
最初は圧倒していた先進国だったが、長引く戦争によって国内で貧困と飢餓が蔓延し、
大規模なデモが起こり、それを武力で押さえつけたため更なる反感を買い、
各地の前線部隊と共にデモ隊が途上国側と協力関係を結び、結果的に先進国は崩壊
これにより戦争は終局を迎えた。
だが、もとより政治力に欠けていた途上国側は、崩壊後の世界を管理することは出来ず、
民間の企業による民営政治が元先進国の土地を支配し、これにより、戦争で変わったことは
環境汚染の深刻化、資源の大量消費、世界人口、先進国名が企業名に変わったことだけだった。
それから何年か経った。
汚染区域を安全に通り抜けるためにロボット技術が発展。
それに伴い無人機が軍隊の主戦力に取って代わり、様々な機体ができた。
しかし、当然ながら戦争に買ったにもかかわらず、途上国民の扱いが以前と変わらなかったため、
内戦が多発した。
当然、国家という括りから脱却した民営政治はこれへの介入も容易いものであった。
大量の無人機による圧倒的虐殺。物量とパワーによる制圧。
必然として新たな戦争が起こったのであった・・・・・
――――某戦争地域α地区第47企業大隊前線基地――――
「だっーーー!!くそったれ!またショートしやがった!!」
壁にぶら下がっている人型兵器の一つをいじりながら、金髪の男が叫んだ。
「仕方ねーよ、そいつこの間爆風喰らってたし、何よりロートル機だからな」
陳列する大型四足兵器をいじりながら黒髪の男が応える。
「けっ!!金にならん内戦だからって旧式のポンコツばっか送りつけやがって、上層部の連中はっ!!」
「そういうもんじゃねーぜ。こいつらが戦ってくれるお陰で俺らは座ってるだけで済んでんだから」
戸口に座る老兵が新聞を読みながら笑う。
「伍長、そう思うんだったら手伝ってくださいよ」
「おりゃー別にこいつらに頼らなくてもいいから、頼る必要のあるお前らが直せ」
「戦闘中にぎっくり腰を起こした人がそんなことよく言えますね。」
「初の実戦で糞垂らしたガキがよく言うぜ」
「白目むいて泡吹いてたしな」
「ちょ、それはもう忘れてくださいよ。新兵なんかそんなものじゃないっすか」
「俺は漏らさなかったがな」
「ハッハッハおおー、そういや今日あたりに増援が来るそうだ。」
「マジっすか!?こないもんだと思ってましたよ」
「ん~きっと、予想より出費がかさんでるからじゃないか?予定なら3ヶ月前に終戦してるはずだしな」
「なるほど」
「よし、無駄話終了。ちゃっちゃっと修理修理」
「「へ~い」」
そして時は戻り。視点は変わる。
僕は工場で生まれた。
たっくさんの兄弟がいた。
僕たちは作り人のために毎日のように戦って壊れた。
でも、戦うごとに作り人が喜んでくれたから嬉しかった。
そのうち弟たちが何万とできた。
弟たちは僕より出来が良くて、僕は一番危ないところに立って戦うことになった。
爆弾になった奴もいた。
わざと壊されて障害物がわりにさせられた奴もいた。
そして僕らは集められ、再資源化工場って所に連れて行かれることとなった。
トラックに詰められ、夕日の砂漠を少なくなった兄弟と共にゆらゆらと揺れていた。
その時、一番前のトラックが吹き飛んだ。
同時に僕らも戦闘態勢に入り、襲ってきた人たちを殺したけど、
間に合わなくて、僕は体がショートしてしまった。
壊れなかった兄弟たちの電源を切って、運転手を殺した人たちは、トラックを持って残った兄弟を連れて行った。
夜が来た、金属が冷える。
体が動かせるようになった。
立ち上がったけれど、足がやられて立てないから座って星を見ていた。
何日も何日も見ていた。
電力がなくなってきた。
前が見えなくなってきた。
その時、僕の足元が明るくなって、
目の前の夜空がレンガに変わった。
そして声が聞こえた。
「なに・・・・これ・・・」
と。