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聴覚障害者の日常

聴覚障害者の日常 またまた遠距離

作者: ぷかぷか

夫は転勤族だ。

大学を卒業すると同時に遠距離交際になった。

アタシが横浜で働いていたので、結婚を決めたときは夫が関東勤務を希望した。

結婚式を挙げたのは2月26日だけれど、その時はまだ赴任地が決まっていなかった。

3月になってようやく赴任地が東京に決まった。それからアタシが新居を探しあわてて引越しをした。3月の終わりに夫と夫の荷物が入ってきた。

入籍したのはいつだったかわからないのだけれど、おそらく新居が決まりアタシの引っ越しを終えた後から結婚生活が始まる前の間…なんだろうと思う。

結婚生活はこんなバラバラでごたごたな始まりだったもんだから、とりあえず、我が家の結婚記念日は結婚式を挙げた日なんである。

2年で岩手に転勤になったが、アタシが仕事をしていたので、急には辞めることができず、先に引っ越ししてもらった。考えてみれば、これが初めての単身赴任になるのだろう。

転勤族と結婚したら、子供が生まれてくるまでは身軽でいいけれど、その後のことは子供の教育と天秤にかけることになる。

幸いというかなんというか、子供に恵まれた我が家は三つ子だった。

三つ子だから、一学年で考えればよく、申請する場所も一つで済んだ。

もちろん、もろもろの出費が一気に出るわけなので痛かったけれど、なるべく夫と一緒の生活ができるほうがいいと思っていたので、2年おきの転勤でもついていった。

今春、とうとう単身赴任になった。

子供たちは中学3年生になるが、♂2号が部活をどうしても最後までがんばりたい、といったからだ。

野球部のレギュラーをとり、さらに掛け持ちしている駅伝部のレギュラーもとれそうだったからだ。

そのがんばりも見てきたので、夫もアタシも単身赴任も仕方ないと思った。

でも、やっぱり、家族が離れるのはつらい。

忙しい夫に代わっていつもアタシが引っ越しの準備をするのだが、今までの引っ越しの準備の中で一番切なかった。

離れるための準備っていうのは、覚悟を新たにするっていうことなんだろう。

子供たちの顔を見るのも、夫の顔を見るのも、このころは自信がなかった。ちゃんと笑顔で普段通り接しているか、笑顔で送り出せるか、そんなことばかり考えていたからだ。

そんな時に、夫が、アタシのパソコンを新調しよう、って言ってくれた。

「好きなのを自分で選んで買えばいい。それで、テレビ電話※をしよう。」

独身時代は、電話しかなく50音ルールでなんとかつながっていたのだけれど、今は情報通信がすごく発達してきた。

そうだよね、それを利用しない手はない。

速攻で、ウェブショップでカスタマイズパソコンを購入。

四苦八苦しながらセットアップして、友達に聞いたりして、なんとかテレビ電話を立ち上げることができた。

初めてのテレビ電話は、なんと、こちらは夫の様子が映るがあちらにはアタシの画像が映らなかった。

こちらのパソコンのカメラが機能しなかったからだ。声は届くらしいので、電話はできている。

こちらは夫の顔かたちが見えるので、がっかりした様子も鼻をほじってる様子もあくびをしているところも丸見えだ。

ずるいといわれてしまったので、何とかして映らないかといろいろ頑張った。

どうやら、Windows8にのっているSkypeよりDisktopSkypeのほうがよいということでインストールし、起動してみた。

おかげで、やっと夫とパソコンの画面上で対面できた。

仕事が忙しいのか疲れた顔も見えて、心配だったけれど、それでも様子が見えることは本当にうれしい。

手を出すことも何かをすることもできないのがもどかしいけれど、ちゃんと顔をみて話すことができるのがうれしい。

こうして、単身赴任生活が始まっても、夫とは連絡を取ることができている。

技術の進歩に感謝だね。

ここでいうテレビ電話は、インターネット上でSkypeスカイプを利用したものです。Skypeではビデオ電話と呼ばれています。ビデオ電話という呼び方は、一般的にあまり聞かれないとおもって、テレビ電話と記述しています。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 幸せそうなところ [一言] はじめまして 日常のなかの些細な出来事がありのままに描かれていてとてもホッこりさせてもらいました。 家も単身赴任で始めてテレビ電話した時、同じように思ってく…
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