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罪の味

知らない場所を一人で歩く。

できるだけ何も動かさないように、慎重に 扉を開けて、廊下に出る。

すぐそこの扉を開けて見れば、リビングにたどり着いた。


不思議な感じだ。

ただでさえこういう一軒家に不慣れな私が、全く知らない人の家でものを盗もうとしているだなんて。


こんなことを知ったら、周りはどう思うのだろう。

「やっぱり化け物なんだ!」とでも、言われるのだろうか。

やっぱり、その可能性が1番高いだろうなぁ。


そんなことを、他人事みたいに、ふわふわと考えてる今日の私はやっぱりいつもと違う。


どうでもいい。

周りがそういうから、なんだと言うのだろう。

正直いって、周りがとやかく言ったことで私自身は変わらないのだ。

私を取り巻く環境は変わる。人生としては少し変わるかもしれない。

だけど、私自身を塗り替えられる訳じゃない。

それでもやっぱり憎悪は消えてくれないし、周りの奴らがぬくぬくと生きてるなんて、嫌で嫌で仕方がない。


そんなわけだけれどもまあ、今日の私はどこか変だ。

本当に気に食わないのならば、消してしまえばいいだけだろう。そのために、色々自分で考えていたんじゃないか。

なんて、頭が言っている。


実際そうなのだから、変だと思うのも違うか。


また色々と考えてた頭の中の数々の思考に、そんな結論を貼り付けて思考を止める。

今度は、今考えるべきはそれじゃないとおもったから。


リビングにあった冷蔵庫に手をかけ、開け放つ。

果物の香りがふわりと漂って、私の頭の中を満たしていく。


あ、いいな、これ。凄い心地いい。


呑気にも心はそう感じた。

とにかく私は、何かを持たなくちゃ、という思考に切り替わり、適当に盗りはじめる。

主に果物。調理しなくていいものを求めてるからそれが最適。


元々食べる量は少ないから、そんなに沢山要らなかったから。

少し盗ったら、そのまま家を出ていた。

何故かは知らないけど、このくらいの量なら対して気にも止められないんじゃないかと思ってたから、証拠はできるだけ残さないように出ていった。


りんごを少し齧ってみる。

甘さがちょうど良くって、頭の中がそれだけでうめつくされた。

ただでさえ香りが立ち込めているのに、こんな甘さを感じてしまったらなんだか虜になってしまいそうだ。


これが罪の味なのかな、なんて。


空を見上げる。 凄く、すっごく青かった。

いつも、いつも憎たらしかった。

昨日も一昨日も、この空を幸せそうに眺められる人がいることがいることに。


私は幸せになりたくてもなれなくて。

周りにおかしななレッテルを貼られて。

何故だか知らないのに、酷く哀れで醜くて、不幸に見えたから。

それでも、本当に今日の私はおかしいからだろうな。


自分がすごく幸せそうに見えて仕方がない。

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