罪悪感など蹴り飛ばす
いつもはパソコンでかいているのですが、今日はスマホでかいたのでちょっと違うかもしれません……。
ありえない、こんなことありえない。絶対に、おかしい。
だけど、頬を抓ったって、目を擦ったって、夢から覚めるわけでもない。
どうも、この家は本当に現実にあるものらしい。
都合のいい幻覚にしか見えないけれど、近づいて触れてみても、確かにそこに実態がある。
これは、私に降りかかった奇跡というなのチャンスだ。
滅多に味方なんてしてくれない神様の、貴重なチャンス。
ごくり、と喉を鳴らす。
このチャンスを逃すわけにはいかない。つまり、失敗は許されない。
だから、私は考える。最前の選択、とやらについて。
普通に訪ねて、食料を貰うなんてことできるだろうか。
私は見ず知らずの他人だというのに、そんなことありえるのだろうか。
ぐるぐると思考が渦巻いて、どろどろと混ざり合う。
もし住んでいる人が、常識の通じない人だったら?
何かを企んでいるような、悪人だったら?
優しいフリをして私を騙すような人だったら?
最悪の考えが拭いきれない。そんなことはないと言い聞かせても次の可能性が浮かび上がる。
実際、そんな最悪な状況になり得ない確証なんてない。
普通に貰うんじゃ、失敗するかもしれない。
相手に強請るだけでは失敗する確率が高すぎる。
信用出来ない。そんなチャレンジ、やるべきじゃない。
じゃあどうするの?
頭の中の私がそう問いかける。
答えは、既に決まってる。
家の窓に目を向けた。
なんて都合がいいのだろう、少しだけ窓があいていた。
そっと窓に近づいて、部屋の中の様子は見る。
明かりはなく、人がいないようだった。
ああ、本当に都合が良い。まるで甘い蜜の罠だとでも言うように。
盗んでやろう。
そうだよ、私はもう既に人を刺した。悪党の端くれだ。
今更、犯罪だのなんだの関係ないじゃないか。
とっくにタガは外れてる。本当に、本当に今更だ。
罪悪感?そんなもの、とっくに捨てたはずだ。
それでも感じるというのならば、なけなしの感情が嘆くのならば、蹴り飛ばしてしまえ。
バレなきゃ犯罪じゃない、って言われたこともあるらしい。
人っていうのはそれぐらいずる賢い生き物なんだ。
だから、私だって間違ってない。
盗んだことがバレて、その犯人が私だってこともバレるかもしれない。
けれど、今ここの壁を乗り越えなくちゃ、そんな未来すらもやってこないかもしれない。
それなら、今ここでやらなくちゃ。
ひとつ、深呼吸をした。
もう、迷いなんてなかった。
窓に手をかけて、全開にする。
少し小さかったけど、侵入するのにはなんてことも無かったから、すんなりと部屋に辿り着く。
「ははっ……あはははははっ」
乾いた笑みが静かな部屋に響いて、耳に届いた。




