戻ってきて思うこと
そうして。
「え?いや本当にここでいいの?」
「うんいいよ、いいからとりあえず帰って」
「でもここ公園…」
「気にしなくていいから」
という数分の攻防により、なんとか優也を帰らせることができた私は、公園で閉じこもっていた。
「疲れたなぁ…」
おそらく、今も優也は怪我のこと病院に連れてってないけど…みたいなことを考えているだろう。
あのなんか、人のことをやたらと心配する奴ならそうだろう、うん。
けれども実際、そこまで傷が重症かといえばそうでもない。
痛かったのも、ある程度傷が深かったのもそうだけど、意外と応急処置でどうにかなりそうだ。
証拠に、痛みは怪我を負った直前よりかははるかに薄れていた。
まぁ、まだ動かしたり染みたりすると痛いけど(当然)。
だからといって病院に連れてかれたくはないので、私は公園に閉じこもりたかったわけだ。
こんな時間に病院押しかけるのもなんか違う気がするし。
何より、まだ何も考えたくないという思いが残っていて、どことなく気持ちと体が重い。
少し休んで、この何とも言えない感覚が消えるといいけれど。
「春菜は頑張りすぎだよ」
そんな声が響いて、思わず振り向く。
けれど、そこには誰もいないし何もない。
また、空耳だろうか。
そう思うと、さらにのしかかっている重さが増したように感じた。
いい加減、結菜ちゃんの空耳はやめてほしい。
少しでも、期待をしてしまうから。
でも今回はきっと、大御門のことがあったから、結菜ちゃんのことを思い出しているのだろう。
そう考えると、今からでも眠りにつきたいという思いは消え失せる。
なんとなく、今はいい夢を見れる気がしないから、嫌だと感じる。
今日残ったわずかな時間は、休むことには使えそうにないかと内心ため息をつく。
けれどこれも、自分に課せられた罰のように感じ始める。
今の私はいつもより、あの時のことを意識しているんだと悟る。
ぐちゃぐちゃになった感情を整理するために、何とかしようと自分の思考の中をぐるぐるする。
目まぐるしい感情の嵐の中でひねり出された答えは、自分でも笑えてしまうものだった。
大御門のことが、とにかく許せない。
確かに自分の中で一番憎い人だと思っていたけれど、ここまで許せないとは自分でも少し意外だった。
そして、自分は本当に正常かと思ってしまう。
自分で自分の正気を疑うなんておかしな話だけど、それくらいその思いが強かった。
他の感情の中でも、強くそこに存在していたその憎悪は、煮えたぎっていた。
それは自分にとって、他人に対する憎しみの感情を抱くことが、どれだけのことかを表しているようで。
一方で、どことなく、私がその感情に憑りつかれているみたいにも見えた。




