新事実
暗い夜道を二人で歩く。
「それで、どういうことか詳しく聞いても?」
ちなみに怪我は殺気応急処置をされた。
この人は重度の心配性か何かを患っているんじゃないかと思うくらい、他人に対して甘い気がする。
これが普通だとでもいうのだろうか。
「詳しくも何も…道に迷って、犯罪者に出会っただけ」
簡単に言えば、そんな話だ。
私が易々とついていってしまったのも悪いんだろうけど、不運だったともいえる。
「犯罪者…もしかして、あのお金持ち様?」
「何、知ってるの?」
あの犯罪者は確か、ここら辺に住んでる人以外は知らないみたいなニュアンスのことを言っていたはず。
だから、優也が知っているのは意外だった。
「うんまあ、ここらへんにも少し関わりがあるからね」
そういえば、友人がどうのこうのと言っていた。
周りの道には人がいなかったから、多分その友人さんは家の中から見たか何かしたということ。
そう考えると、ここらへんの土地と関わりがあってもおかしくないのかもしれない。
「にしても、いつの間にかこんなところまで来てしまっていたなんて、未だに信じられないや」
これも、応急処置を受けているときに聞いた話なのだが。
ここは私が知っている場所より遠いところだった。
だいたい、十数キロは離れているという。
なんでこんなところまで来てしまったのか、本当によくわからない。
今回のこと受けて、できるだけ、ぼーっとしながら歩くのはやめようと思った。
っていうか、あの犯罪者、そう遠くはない、みたいなことを言っていた気がするけど……。
いや、どうせ嘘だろう、都合のいい嘘。
「おかげで僕も見つけるのは大変だったよ」
その件に関しては、お疲れ様です。
「ここら辺の警備はどうなってるの?人がいなかったとはいえ、道のど真ん中であんなんとは……」
改めて今回の一件を振り返って私がそんなことを呟けば、優也は「それは耳が痛い話だね」という。
「あのお金持ち様は、警察にだけは証拠を一切漏らさないんだ」
「そうなの?ここら辺では有名な話だっていったから、一般人には結構広まっているんでしょ?」
「うん、実際そうだったわけだしね」
よくわからない話だ。
一般人にこんな広まっているのに、警察が証拠を掴めないなんてこと本当にあるのだろうか。
そこまで考えて、相手はお金持ち様だと思い出す。
「まさか賄賂……」
「かもね。それだけはどうやっても、僕らにはわからないわけだけど」
そんなことはないと思いたいところだ。
とにかく、夜中で一人でこんなところを歩かなければどうにかなる話だと信じよう。
そうだ、こんな数十キロ離れている場所、本来来る場所じゃないんだから。
そうやって、私がうやむやと考えていているのを横目に、優也はぽつりとつぶやいた。
「大御門も、よくこんなことしてられるよ」
その言葉に、私は思わず立ち止まる。
それは、その大御門という単語に驚いたから。
「……どうしたの?」
大御門。
別にそれが、世間で有名な最先端の医療技術に大きく貢献したグループだから、私は驚いたんじゃない。
もし、私の考えが正しいのなら。
「あいつが、大御門なの?」
それを私は、この世で一番憎い人、と呼ぼう。




