聞き覚えと見覚えと
似てる。
本当に、似てる。
私はただ唖然としてその優也そっくりの人物を見つめていた。
顔立ちがそっくりすぎて、同一人物ではないかと思ったがよく見ると少しだけ違う気がする。
じゃあ、なんとなくの印象がこんなにも似ているのだろう。
私がそうやって見つめながら考えていると、その人物は不思議そうにしていた。
「そんなに見つめてどうかしたの?」
心配そうにじっと見つめてくるところも声もやっぱり似て…。
口調も柔らかな感じがして、少し似ている気がするし…。
じゃない、話を聞かなくては。
声や見た目に関してはまだしも、口調くらいはありえなくもない。
とりあいず「いえ、なんでもないです」と答えておいて話を聞く姿勢を作る。
それを見て雪先生はふうっと息を吐いて、私に告げる。
「貴方が覚えているのかどうかわからないけれど、彼は安齋先生、貴方の担任よ」
安齋…担任…。
…え、担任???
っていうか安齋ってつい最近聞いたような…。
いやいやその前に担任とはどういうことだ。
私の記憶が正しければ、この人は担任なんかじゃない…。
…いや、私ってこの学校に入る前から先生の顔をまじまじと見たことがあっただろうか。
…。
完全に黙りこくった私に、雪先生も安齋先生も心配そうな視線を向けてくる。
が、雪先生はなんとなく私が覚えていないということを察していたようで、もう一度息をついて話す。
「まあ、仕方もないわよね…ほとんど学校に来ていない上、来ても気にしないような人でしょう」
痛いところを突かれて、さらに押し黙る私。
けれど、なんだそんなことかと安心したようにする安齋先生。
…やっぱり似ている。
「って…したい話はそうじゃなくてね…安齋先生があなたに話があるそうよ」
本題はそっちなのかと思いながら、私はげんなりする。
先生と面と向かって話すのは大嫌いだ。
どうせ内容も、学校に恋とかそんなものだろう。
正直こんな時間は地獄でしかないが、逃げられるような気もしないため大人しく安齋先生と向き合う。
それに気づいた安齋先生は、丁寧に話し出す。
「これは個人的な話だから、答えたくなければ個体なくて構わないよ」
…個人的な話?
「僕には、双子の弟がいるのだけれどね。最近なかなか顔を合わせてくれなくて困っているんだ」
…双子の弟…あれ、完全に学校の話とは関係なくないか…?
「びっくりしたよ、久しぶりに姿を見たと思えば君と一緒にいたのだから」
…ん…???
「たまたま見かけただけだったけど、慌てて連絡したさ」
…それってつまり。
「少しだけ、聞かせてほしいんだ。優也のことについて」
私は、ただただ驚愕していた。




