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第8話新メンバーの加入

小宮山こみやまさんが涙の跡を残したあのカードは、教室の埃をかぶった片隅で、時間に忘れ去られたかのようだった。


委員長佐藤さとうが向ける冷たい視線は、北風が荒野を吹き抜けるようだったが、吹くべきものがないため、やがて静まっていた。


生活は再び惰性の軌道に戻ったようだった:授業、ぼんやり、睡眠、下校。そして…いつも古本と埃の匂いが漂い、いつも三人だけの足跡しかない応援部の部室へ。


おなじみの、ペンキが剥がれた部室のドアを押し開けると、中の光景は予想通りだった。


夜滝優凛よだき ゆりん部長は相変わらず、皮が剥けた古いソファを占領し、体を沈め、腿の上に恋愛漫画を広げ、眉をひそめながら読みふけっていた。口の中でぶつぶつと呟いている。


「…なんでここでまた誤解するんだよ!さっさとキスしろよバカ!」


一方、雨憶伶あめなみだ れいは窓際の低いテーブルに静かに座り、分厚い辞書を開き、細い指で真剣に付箋に何かを書き写していた。ブラインドの隙間から差し込む陽の光が、彼女のピンクの髪の毛先と集中した横顔に細かい光の帯を落としていた。ノートブックは足元に広げられていた。


雨憶伶が顔を上げ、俺を見ると、唇の端にすぐに柔らかく澄んだ微笑みが浮かんだ。習慣的な依存と安心感が混ざっている。


俺はうなずき、返事とした。まっすぐ壁際の、俺のいつもの「縄張り」——きしむ古い事務用椅子へと向かった。


いつものように、この静かな空間のもう一つの沈黙した置物になろうとしたその時、優凛部長が突然ソファから飛び起きた。手にしていた漫画本が「パン」と床に落ちても全く気にしない。


「あああああ!北辰!ついに来たか!」


彼女は数歩で俺の前に駆け寄り、両手を肘掛けに押し付け、体ごと乗り出した。メガネの奥の目は見開かれ、新大陸を発見したような、熱狂に近い光を宿していた。


「大変だ!世紀の大ニュース!我らが応援部が!爆!発!す!る!」


彼女の大げさな身振りと過剰に張り上げた声に、窓際の雨憶伶も驚いて困惑した目を向けた。


優凛部長は自分の興奮に完全に浸り、俺の腕を掴んで揺さぶった。


「どうなったと思う?今日!ついさっきの昼休みに!我らが応援部に!正式な!入!部!願!書!が届いたんだぞ!」


彼女は一語一語区切り、それぞれの言葉に裏声が混じっていた。


俺はまぶたを上げた。無表情だった。入部願書?部長自身がぼんやりしたり漫画で時間をつぶしているこの部活に?天方夜譚てんぽうやたんだ。


「信じられないのか?!」


優凛部長は俺の考えを見抜いたかのように、ポケットから一枚の…ええと、くしゃくしゃに丸められた入部願書を取り出し、非常に厳かに俺の目の前に掲げた。


「見ろ!本物だ!はっきり『応援部入部願書』って書いてある!署名もある!ひ・な・た・な・つ・み!見えたか!」


彼女の指が紙の下端の署名を指さした。


その見覚えのある名前を見て、俺が肘掛けを支える指先がかすかに止まった。


日向夏橘?


屋上で「好きだ」と声を張り裂いて叫び、階段室で水漏れのように泣き、最後におにぎりを抱えてびっこを引きながら去っていったあの…日向夏橘?いつも小さな炎を燃やしていて、後退を知らないかのような…日向夏橘?


彼女が応援部に入る?


優凛部長は俺が相変わらず沈黙しているのを見て(彼女には無関心に見えたのだろう)、焦り出し、くしゃくしゃの願書を握りしめ、その場でくるりと回った。


「北辰!この千載一遇のチャンスを掴まなきゃ!応援部復興の第一の聖光だ!彼女にかかってる!すぐに彼女を見つけなきゃ!今すぐ!絶対に逃がすな!伶!早く早く!」


彼女は問答無用で、片手でソファの上着を掴んで肩に掛け、もう一方の手で窓際に座っている雨憶伶の手首を掴もうとした。


雨憶伶は明らかに部長のこの火急の状態に面食らい、体が無意識に後ろに引っ込み、助けを求めるように俺を見た。雨憶伶の動きは微細ながらも明らかだった。わずかに引いた肩、そして素早く俺に向けられた、問いかけと小さな不安を含んだ目。


部長の手は空中で固まった。彼女は雨憶伶の視線を追い、俺を見た。


数本の視線が瞬間的に一点に集中した。部室に流れる空気が粘り気を帯びたようだった。


窓の外の木の葉の影が床の上でそっと揺れた。優凛部長の無鉄砲な勢いは一時停止ボタンを押されたかのようで、目には新入部員への渇望の炎がまだ燃えているが、体はその場に固定されていた。


雨憶伶は静かに俺を見つめ、その目は純粋な信頼と待機を表していた。


そして俺は…俺は沈黙のまま部長の熱い期待(そして少し卑屈な懇願さえ含んだ)の目を迎え、彼女が握りつぶしそうになっている「入部願書」をもう一度見て、視線を窓際の雨憶伶に戻した。


その澄んだ目の中にも、仲間が加わることを望むかすかな期待が隠されているようだった。


俺は心の中で音もなくため息をついた。そのため息は埃が落ちるように軽かった。


「…俺が探す。」


俺はきしむ古い椅子から立ち上がった。その動作は素早く、まさに説得を続けようとしていた優凛部長が舌を噛みそうになった。


「は?」


優凛部長は呆然とし、幻聴が聞こえたかのようだった。


窓際の雨憶伶はすぐに目を細め、口元の笑みを深めた。


俺はこれ以上一言も言わず、振り返って部室のドアを開けた。


陽の光がまぶしく、廊下には誰もいなかった。遠くのかすかな喧騒だけが聞こえる。


夏橘…どこにいる?前回彼女がおにぎりを抱えてよろめきながら消えた方向…たぶん旧体育館の裏の「失われた隅」と呼ばれる小さな空き地?


足が自然とその方向へ向かった。賑やかなバスケットコートを迂回し、蔦が絡まる古い廊下を抜け、廃墟となった美術棟を回り込むと、背の高いメタセコイアに囲まれた荒れ果てた花壇の一角が見えてきた。


ここは掃除当番もめったに来ない。雑草が石畳の隙間で勝手に生い茂っている。


案の定、錆びた鉄製のベンチの近くの隅で、見覚えのある後ろ姿がいた。洗いざらしの古いジャージを着て。泣いてもいなければ、ぼんやりもしていなかった。小さなシャベルを持って、とても真剣に…土を掘っていた?


彼女の動作は機敏で、コートをダッシュするような勢いがあり、地面の半分ほどの雑草は根こそぎ取り除かれ、きちんと脇に積まれていた。


そばにはどこで手に入れたかわからない小さな野花の種の袋も置かれていた。彼女は完全にその作業に没頭しているようで、俺が近づいても気づかず、小麦色のうなじに細かい汗の粒がにじんでいた。


陽の光が背の高いメタセコイアの枝の間を抜け、彼女のわずかに曲がった背中にまだらな光の点を落としていた。


彼女はしゃがみ込み、後ろ姿は異常に頑固で集中しているように見え、小さな姿は広々とした荒れ果てた庭園の中で場違いな活気を放っていた。シャベルが土や草の根に触れる微かな音が静寂の中で特にはっきりと響いた。


俺はその場に立ってしばらく見ていた。彼女は完全にこの頑固な土地との「戦い」に没頭しているようで、あの「好き」と叫んだ日よりもさらに没頭し、力が入っていた。


「…何してる?」


ついに口を開いた。声は高くないが、静かな隅では十分彼女を驚かせた。


夏橘のシャベルが突然止まり、体が一瞬硬直した。警戒した小動物のように素早く振り向いた。


俺だとわかると、目にはっきりとした驚きと慌てた色が走り、すぐにわざとらしい落ち着きに覆われた。彼女は立ち上がり、泥だらけの手袋(これもどこからか持ってきたもの)をはたき、ピンクの、明らかに園芸には向かない野球帽を脱ぎ、袖で額の汗を拭い、歯を見せて笑った。白く整った歯が並んでいる。


「よう!北辰くん!」


彼女の笑顔は相変わらず輝いていて、口調も普段の爽快さを保とうとしていたが、その語尾に必死に隠した緊張の一筋が俺には聞き取れた。


「こんなところで会うなんて奇遇だね!俺は…えっと…ちょっと…あの…学校奉仕!そう!ボランティアで学校美化!」


彼女は地面の雑草の山と種の袋を指さし、真面目くさってでたらめを言ったが、目つきはわずかに泳いでいた。


額の前髪は汗で濡れて肌に張り付き、鼻の先には茶色い泥が少し付いていた。その「俺は大丈夫、俺は平静だ」という表情を作ろうとしている顔は、少し不器用で…少し哀れなほど馬鹿に見えた。


俺は何も言わず、ポケットから優凛部長にぐしゃぐしゃにされた紙片を取り出し、彼女に差し出した。くしゃくしゃの縁が陽の光で一層目立っていた。


夏橘の視線がその紙に落ちた。その上の文字と自分の署名をはっきり見た時、彼女の顔に浮かんでいた無理やり作った笑顔は一瞬で固まり、風船が割れたように急速に消え去った。


代わりに現れたのは、大きな困惑と少しの慌てふためいた表情だった。


彼女は悪さをして親に見つかった子供のように、無意識に半歩後退し、顔が「ぱっ」と真っ赤になり、目が泳ぎ、もうその紙も俺も見られなくなった。


「あの…これ…これは…」


彼女の声はつかえつかえで、指は泥だらけの手袋を不安そうに絡ませた。


「俺…俺はただ…あの…通りかかってて…掲示板を見て…あの…違う…」


彼女の説明は支離滅裂で、論理がまったく通っておらず、泥のついた顔はますます赤くなり、鼻の先の茶色い泥の跡がそれでいっそう滑稽に見えた。


俺は相変わらず沈黙し、紙片を差し出す姿勢を保ち、催促も批評もせず、ただ静かに彼女を見つめた。その視線が最大のプレッシャー源になったようだ。


夏橘は俺の凝視に、ついに完全に降参した。彼女は肩を落とし、悔しそうに汗で濡れた首筋をかき、すべての無駄な言い訳を諦め、短く敗北したうめき声を上げた。


「ああー!バレちゃった!」


その様子は、うっかり尻尾を出してしまった落ち込んだキツネのようだった。


彼女はがっかりして足元の土塊を蹴り、それから顔を上げた。まだ消えない恥ずかしさの赤みが残っていたが、目はもう逃げず、少し開き直った正直さと、かすかな期待を込めて見つめてきた。


「…あの…願書…ちょっと…簡素すぎるかな?」


彼女は少し気まずそうに、そのくしゃくしゃの紙を指さした。


「書き方が簡単すぎて…ちょっと…失礼だった?迷惑かけた?」


彼女の関心は微妙にずれていた。「本心を見抜かれた」ことから「形式が合わなくて受け入れてもらえないかも」に移っていた。


その慎重な尋ねる口調は、普段の風風火火の彼女とは別人のようだった。


俺は下を向いて、手の中のこの風雪に耐えた「願書」を見た。紙は粗末で、字は乱雑で、縁は丸まって巻き上がっていて、願書というより、むしろ助けを求める走り書きのメモのようだった。


おそらく…これが彼女の心の奥底の本当の姿なのだろう。


「…迷惑じゃない。」


俺はついに口を開き、声は平然としていた。差し出した手を引き、そのくしゃくしゃの紙を適当に折りたたみ(少なくとも部長が丸めたよりはマシ)、自分のポケットに戻した。


「部長…待ってる。」


そう言うと、振り返って来た道を戻ろうとした。


「待って!」


夏橘が慌てて呼び止めた。俺は足を止め、半身を彼女に向けた。


彼女は俺を見つめ、顔の赤みはまだ引いておらず、唇が動き、言葉を選んでいるようだった。陽の光がメタセコイアの葉の隙間から彼女の顔に揺れる光の点を落とし、激しい感情を経験したその目は、今鋭い率直さが少し減り、困惑と探求が増えていた。迷子の小動物が確認の座標を探しているようだった。


「北辰くん…」


彼女は小声で口を開き、声にはためらいが混じり、少し頑固な真剣さもあった。


「応援部に入って…本当に…人の役に立てるの?新しい…方向を見つけられる?たとえ…ほんの少しでも…いい?」


彼女は軽く尋ねたが、目は俺の顔をしっかりと捉え、いつもの平静な表情の下から確認や答えを引き出そうとしているようだった。


この質問は単に部活についてだけでなく、自分の恋愛の戦場で敗れ、途方に暮れている自分自身への問いかけのようにも思えた。


風が荒れ果てた花壇の雑草の間を抜け、土と新しく掘り起こされた草の根の匂いを運んできた。遠くのバスケットボール部の練習の叫び声は距離でぼやけた背景音になった。


新しい方向?人を助ける?それとも自分を助ける?


俺は彼女のこの哲学的な質問には答えなかった。視線は彼女の足元の抜かれた雑草の山と、小さな野花の種の袋を掠めた。


これがおそらく、彼女の方向感覚なのだろう?最も落ち込んだ場所で不器用に荒れ地を掘り起こし、何かを植えようとする?この行為自体が、すでに一つの答えのように思えた。


「わからない。」


俺は彼女の質問に正直に答えた。口調に変わりはなかった。


「部長の言うことだ。」


責任転嫁、完全に。夏橘は呆然とした。明らかにこんな「適当な」答えを予想していなかった。


俺は彼女を見ずに、まっすぐ振り返り、歩き続けた。ただ、あの鉄製のベンチのそばを通り過ぎるとき、ポケットからちょうど買ったばかりの、午後のおやつにするつもりだった——きれいな油紙に包まれた、体温の残る三角おにぎり——を、ほこりをかぶったベンチの肘掛けのところに置いた(さっきの紙がまだそこにあったので、ちょうど敷紙になった)。


「お腹が空いたら、何か食べて、片付けて、それから出発しろ。」


俺の声が風に乗って流れ、方向の定まらない説明を残し、振り返らずに来た道を去っていった。


後ろからはすぐに足音が聞こえなかった。彼女が感情をかき乱した痕跡(土地の上でも心の中でも)を片付ける時間が必要だとわかっていた。


古い廊下を抜けると、陽の光が再び頭に熱く落ちた。後ろの方から、五分ほど経ってから、わざと抑えた、しかし明らかに浮き浮きした足音が聞こえてきた——タッ、タッタッ——歩きではなく、小走りだった。彼女はわざと追いかけているようだった。


俺は振り返らず、足を遅くもしなかった。


応援部の部室へと続く静かな廊下に入るまでに、その軽快で慎重な足音がようやく俺の半歩後ろの位置まで追いついた。


夏橘の息遣いはまだ少し荒く、汗の匂いとさわやかな土の香りが混ざっていた。彼女の頬は紅潮し、目は驚くほど輝いていて、さっきの落胆と迷いは、あの数分間で完全に消え去ったようだった。


彼女はまたあのピンクの野球帽をかぶり(つばに新しいこすり跡がついていた)、口元は隠さない、輝くような笑みを浮かべていた。


彼女はわざと咳払いをし、顔を横に向け、キラキラした目で俺を一瞥した。そこには組織を見つけた喜びと、ある種の確信感が満ちていた。


「あのさ…」


彼女の声には小さな得意げさと探りが混じり、わざと語尾を伸ばした。彼女らしい爽快さと率直さがいくぶん戻り、以前のすべての葛藤が風と共に去ったかのようだった。


「…花を植えて方向を見つけるって大役、部長きっと待ちくたびれてるだろうな?応援部の出来立てほやほやの新入部員…来たぜ!」


彼女は一歩踏み出し、先にペンキ剥がれた部室のドアを押し開け、元気いっぱいの宣言が小さな部屋に響き渡った:


「部長ー!応援部新メンバー!日向夏橘!ただいま参上ー!」


ドアの内側から、優凛部長の興奮した大げさな歓声と、雨憶伶の優しい笑顔の歓迎の眼差しが聞こえた。


俺は入り口で一瞬止まった。夏橘のまるで新生を宣言するような声がまだ中で反響している。


新しい方向?おそらくそうだろう。少なくとも今、彼女は一時的に立ち止まり、堂々と「何かを植え直す」場所を見つけたようだ。


そしてその場所…また一つ厄介者が増えたようだ。


俺はかすかに首を振り、半開きのドアを押し開け、中で繰り広げられている新入部員歓迎の少し気まずい賑わいを無視し、壁際の自分の古い椅子へと向かった。


そこには習慣的な空虚と静けさがある。新たに加わった喧騒がどれだけ続くのか?優凛部長の壮大な「全人類癒し計画」のように儚いものになるのか?


それとも…この無鉄砲で粘り強い新血が、このほとんど沈黙した部活に何か実質的な変化をもたらすのか。


誰が知っている?


俺はカバンを椅子の背に掛け、座り、カバンから読みかけのライトノベルを取り出し、習慣的にすぐそばの喧騒を遮断した。


陽の光が開いたページに落ち、見慣れた文字が行をなしていた。


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