第7話少女の告白
放課のチャイムが重苦しい空気を引き裂き、人々が各教室の出口から湧き出し、喧騒の流れに合流していった。
俺は人波に逆らい、中庭でも校門でもなく、屋上へと続く階段へと方向を変えた。
重い鉄のドアを押し開けた時、視界がぱっと開けた。一日の中で日光が最も豊かで、最も優しい時間帯だった。空は果てしなく広がる、温かなオレンジ色に染まっていた。
ドアから遠く離れた、錆びた金網の近くに、一人の人影が待っていた。
日向夏橘は昨日のスポーツショーツから、学校指定の夏用スカートに着替えていた。
彼女は背を向け、かすかに爪先立ちし、指が緊張してスカートの裾をぎゅっと握りしめていた。すぐに無理に離し、また握る。それを何度か繰り返していた。あの特徴的な黒いショートヘアが夕風にそっと揺れていた。
俺の足音を聞きつけ、彼女は振り向いた。顔には練習の時のわざとらしい大げささや頑固さはなく、ただ固まって、張り詰めた緊張だけがあった。
小麦色の肌も今の蒼白さを隠せなかった。俺を見ると、まるで命綱を掴んだように息を切らし、小走りに近づいてきた。歩幅は普段よりずっと細かかった。
「北辰くん!」
彼女の声は低く抑えられ、震えが混じり、目は慌てて階段口の方をちらりと見た。
「彼…もうすぐ来るはず…バスケットコートで会う約束だったんだけど、私…屋上で言いたくて…人が少ないから…」
彼女の説明は支離滅裂で、指は無意識に髪の毛先をくるくると巻いていた。
「ああ。」
俺は簡潔に応じた。
「あの…」
彼女は下唇を噛みしめ、目には無力感と依存心、そしてほんの少しの懇願さえも浮かんでいた。
「あなた…お願い…行かないで?ちょっとだけ…」彼女は日陰の小さな空間を指さした。そこには廃棄された発泡スチロールの板や古い机の枠が積まれ、自然な死角を作っていた。
「…そこに隠れて?ただ…そこに立って…聞いてて…声は出さないで!お願い…!」
このお願いは少し子供っぽかったが、俺は理由を尋ねなかったし、尋ねる必要もなかった。彼女は今、驚きすぎた小動物のようで、どんな否定や疑問も彼女を押しつぶす最後の一羽根になりかねなかった。その目に映る懇願はあまりにも鮮明で、あまりにも重かった。
「…わかった。」
俺は最終的にうなずいた。夏橘の目が瞬間に輝いた。それは巨大な感謝と、少しの救われたような光が混ざったものだった。
「ありがとう!北辰くん!やっぱり!」
彼女は小さく早口で言い、ほとんど俺の腕を掴んで揺さぶりたかったが、結局は自制し、その目だけで必死に感謝を表現した。彼女は深く息を吸い込み、呼吸を整えようとした。小さな顔は努力のせいでさらに赤くなった。
「じゃあ…じゃあまず隠れてて!私、向こうで彼を待つね!」
そう言うと、彼女はまた手足が硬直するほどの緊張状態に戻り、三歩歩くごとに振り返りながら、金網の近くに選んだ「戦場」へと歩いていった。隠れるようにというジェスチャーも忘れなかった。
俺は言われた通りにその影へと向かった。古い発泡スチロールの板はほのかな埃の匂いを放っていた。光はここで遮断され、ほんの数本の細長い光の帯が隙間から床に落ちていた。
この位置からは、夏橘の背中と金網の前の広い空間がはっきり見えるが、上がってきた人にすぐに気づかれにくい。俺は冷たい金属の水タンクの壁にもたれ、カバンを足元に置いた。
待ち時間の中で時間は異常に長く感じられた。屋上には風が金網を抜ける低い唸りと、遠くのグラウンドからかすかに聞こえる、歪んだ笛の音だけが残っていた。
夏橘の背中は張り詰めた弓のように硬直し、肩はわずかに上がり、両手は体の前で組み合わされ、指先はおそらく力の限り握られて白くなっていた。
彼女は時折、非常に速く、こっちの方向をちらりと振り返った。その隅の影がまだそこにあるかどうかを確認するためだ。その一瞥のたびに、頑固な安心感が伴っていた。まるで、俺がその視線の存在を知っているだけで、彼女が果てしない恐怖に立ち向かう小さな助けになるかのように。
どれくらい経ったかわからない。数分かもしれないが、一世紀のように感じられた。鉄のドアが再び開く音が、静けさをはっきりと引き裂いた。
夏橘の体が激しく震えた。電流に打たれたかのように。彼女は振り向き、階段口の方を向き、背筋は無意識にピンと伸び、首筋の硬い線さえ見えた。
背の高い人影がドアの光と影の中に現れた。バスケットボール部の主力ガードだ。普段は口数が少なく、確かに静かなオーラを放っている。バスケットボールのタンクトップを着て、額の髪は汗で濡れ、手にはまだボールを持っていた。ちょうど練習を終えたばかりのようだ。
彼は広々とした屋上を見回し、視線は俺に背を向けた夏橘に落ちた。明らかに彼女がここにいることに驚いている。
「日向さん?俺を呼んだのか?」
彼の声ははっきりと向こうから聞こえた。練習後の疲労と、明らかな困惑が混じっている。彼はわずかに首をかしげ、緊張で硬直した彼女の横顔を掠め、最後に彼女の足に目を落とした。眉がかすかにひそめられた。
「その足…大丈夫か?」
夏橘は何も言わなかった。ドアが開く音が鳴った瞬間、すべての言葉が喉の奥深くで完全に凍りついたかのようだった。
彼女は背を向けていたが、彼女の手が体の両側でぎゅっと握りこぶしになっているのがはっきり見えた。指の関節は力の限り握られて白くなっていた。体はその場に釘付けにされたようで、肩と背中は鉄板のように硬直していた。
この息が詰まるような沈黙がすべてを押しつぶそうとしたまさにその時——
金網の外の空を、ちょうど下校して巣に帰る白い鳩の群れが、長い笛のような音を引きずりながら、「バサッ」と羽ばたいて飛び去った。その自由で遠く広がる音が鍵のように、夏橘の喉の枷を一気に開いた。
彼女の体の中の何かが突然の音に震え砕かれ、勇気となって噴き出した。
「——好きだーーーっ!」
彼女は全身の力で叫び声を上げた。声は屋上に張り詰めた空気を引き裂き、かすかに哀れな反響さえ伴っていた。
彼女はくるりと振り返った。その動きは大きく、スカートが弧を描いてはためくほどだった。彼女は練習の時のように近づいたり相手を直視したりする選択はせず、ただきつく、ほとんど苦しそうに目を閉じた。まるで見なければ、これから来る裁きに直面しなくて済むかのように。
彼女の声は力の限りと極度の緊張で完全に裏返り、激しい震えとしわがれ声を伴っていた:
「好きだ!入学式の初日に一人でコートで練習してる君を見た時から好きだった!ドリブルの姿がすごく落ち着いててシュートの姿がすごく集中してるって思った!汗を拭く姿さえかっこいい!自分が黒くてお転婆で可愛くないのは分かってる!でも君の持つあの静けさが好きなんだ!本を読む時に眉をひそめる姿も、景色をぼんやり見つめる姿も好き!返事を求めているわけじゃない——!」
ここまで一気に叫ぶと、彼女はほぼ窒息しそうになり、胸を激しく波打たせた。岸に打ち上げられた魚のようだった。最後の四文字は絞り出すように、すべてを投げ出す覚悟を込めて:
「——ただ伝えたかった!日向夏橘ってバカが、君のことが好きだって!」
彼女は全力でこの言葉を叫び、命の最後の息を使い果たしたかのようだった。
叫び終えた後、空気は瞬間に死の静寂に包まれた。
彼女は目を開けず、両手はまだぎゅっと握りこぶしのままで、体は狂風に揺れる一枚の落ち葉のように激しく震え、雷鳴の落下を待っていた。
涙がついに抑えきれず、閉じた瞼の隙間から激しく溢れ出し、頬を伝って流れ落ちた。
あの男子は完全に呆然とした。彼はこの予告もない、ほとんど「悲鳴」と言える告白に完全に呆気に取られたようだった。
バスケットボールが無意識に手から滑り落ち、コンクリートの床に「ドン」と音を立て、二度跳ねて脇に転がった。
彼の顔の表情は最初の困惑から驚愕へ、そして形容しがたい当惑へと変わった。口はわずかに開いたままで、一言も発せなかった。
彼はおそらく、いつも元気いっぱいで、隣の弟のようにバスケの練習を見ているあの女の子が、こんなことをするとは考えたこともなかっただろう。
この突然の沈黙はどんな返答よりも息苦しかった。時間は凍りついたようだった。風の音、遠くのグラウンドの喧騒、自分の鼓動さえも…すべて消えた。ただあの声を張り裂くような告白の残響だけが、広々とした屋上に反響し、消えていった。
その死の静寂が最後の意志さえも押しつぶそうとしたその時——
影に隠れていた俺は、手を上げ、音を立てずに、指の関節で、非常に軽く、背後にある冷たい壁を叩いた。
コン… コン…
かすかで心臓の最後の鼓動のようだった。
その音はほとんど聞こえず、風の音に簡単にかき消されたが、まるで正確に空気を貫き、恐怖に飲み込まれそうになっていた少女の耳に届いたようだった。夏橘の閉じた瞼が激しく震えた。
そのかすかな叩く音が最後の縄のように、溺れかけた渦から彼女を一気に引き上げたかのようだった。
彼女は目を開けなかったが、震えていた体は不思議に少し落ち着いた。それから彼女は全身に残った力を振り絞り、前例のない偉業を成し遂げたかのように、判決を待たず、相手に反応する時間も与えず——
彼女は深々と腰を折り、まだその場に固まっていた、呆然とした男子の方向に向かって、深々とお辞儀をした!
「——失礼しました!」
彼女はまだしわがれているが、驚くほどはっきりとした声でこの三文字を吐き出した。それは一区切りついた解放感を帯びていた。
それを終えると、彼女は急に背筋を伸ばし、相手を一目見ることさえせず、驚いた小鹿のように、あるいは発射された砲弾のように、頭を下げ、無傷の足で必死に踏ん張り、びっこを引きながら、よろよろと階段口の方向へ、一目散に駆け出した!
「日向…?」
男子は夢から覚めたように、無意識に彼女の名前を呼び、腰を折ってボールを拾おうとし、追いかけようとしたが、彼女の全てを顧みない逃走の姿にその場に釘付けにされ、ただ呆然と小さな、みすぼらしいが異常に断固とした後ろ姿が階段の角に消えていくのを見つめるしかなかった。
屋上は再び広々とした空間に戻った。
ただ風が吹き抜けるだけ。
ただボールを拾い上げ、立ち尽くし、階段口を見つめながら、当惑し混乱している男子がいるだけ。
そして水タンクの後ろの影に、背景に溶け込むように沈黙している俺がいるだけ。
足音が階段室で不規則に反響し、近くから遠くへ、明らかなよろめきと慌てぶりを伴って、すぐに消え去った。あの男子も去った。
俺は腰をかがめ、足元のカバンを持ち上げ、肩にかけた。動作はとても静かだった。
行くべきだ、ミッション終了だ。
その影から離れる前に、俺の視線は無意識にさっき夏橘が立っていた場所を掠めた。コンクリートの床に、数滴のきらめく水の跡が夕陽の残照に微かに光を反射していた——彼女が走り去った時にこぼした涙か、緊張の汗か。
陽の光が俺の影を屋上に長く引き延ばした。耳元にはまだあの叫び声の「好きだ」と泣き声混じりの「失礼しました」がこだましているようだった。
今回は、本当に終わった。
そう思った。
足音が下り階段に反響し、一階また一階。ちょうど中庭へと続く平らな階に差し掛かろうとした時、小さな、丸まった見慣れた影が突然視界に飛び込んできた。
三階の階段踊り場で、夏橘が俺に背を向けて、地面に座っていた(幸いどこからか持ってきた古いチラシを敷いていた)。
小さな肩が激しくひくひくと震えていた。押し殺されていたものがついに決壊したすすり泣きが、彼女の腕の間から途切れ途切れに漏れていた。檻に閉じ込められた獣が引き裂かれたような悲鳴のようだった。
包帯を巻いたあの足首はまだ少し腫れていて、斜めに外に伸びていた。それは特に哀れに見えた。
俺は足を止めた。
彼女は誰かが近づいたのを感じたようで、泣きながら大きく息を吸い込み、慎重に顔を上げた。涙でぼやけた目で俺を見ると、その絶望的で見捨てられた小獣のような目つきが一瞬緩み、すぐにさらに深い、覆いかぶさるような屈辱と恥ずかしさが込み上げてきた。
「うっ…北、北辰くん…」
彼女の鼻声はひどく、涙と鼻水で顔がぐちゃぐちゃになり、みすぼらしい姿で俺を見つめた。
「…しくじった…完全に…しくじった…ううっ…恥ずかしすぎる…もう二度と人を好きになんかしない…」
彼女は支離滅裂に泣き叫び、すべての恐怖、恥、感情をこの音節に詰め込もうとしているようだった。
俺は何も言わなかった。ただ階段の上に立ち、下で丸まって泣きじゃくる彼女を見下ろしていた。
それから、黙ってあの魔法のようなショルダーバッグのファスナーを開けた。
中は相変わらず「整然」としていた:予備の消毒ウェットティッシュ(個包装)、小さな携帯ティッシュパック(未開封)、そして…硬くて、決して最高の慰めの食べ物とは言えない海苔おにぎり(またしてもコンビニの同じもの、どうやら奇妙な定番アイテムになったようだ)。
俺はまずティッシュパックを取り出し、彼女に渡した。
彼女の泣き声はその動作に詰まり、茫然と俺の手にあるティッシュを見つめ、それから涙がさらに激しくなった。
震える手で受け取り、不器用に包装を破り、一枚抜き取って顔をめちゃくちゃに拭いたが、余計にひどくなった。
俺は最後の二段の階段を下り、彼女の前にしゃがみ込み、バッグから消毒ウェットティッシュを取り出し、包装を破り、濡れた小さな布を取り出した。渡さずに、もう一方の手を(とても軽く)彼女の顎に当て、泣き腫らした顔が逃げ場を失うようにした。
彼女は驚いて目を見開き、泣くのを忘れた。俺は彼女の凝視を無視し、ウェットティッシュで丁寧に、ほとんど強引に彼女の顔の涙の跡と汚れを拭った。
ウェットティッシュの冷たい感触に彼女は身を縮めたが、無意識に顔を上げて協力した。
顔をきれいに拭き終えると、俺は使い終わったウェットティッシュを手に握りしめた。そして、くしゃくしゃになったティッシュパックを、まだすすり泣いている彼女の胸に押し戻した。
最後に、その丸々とした冷たいおにぎりを取り出し、彼女の膝に広げられた古いチラシの上に置いた。
これらをすべて終えると、俺は立ち上がり、手の埃を払った(実際には埃はなかったようだが)。
夏橘は泣き止み、下を向いて膝の上の飯団を見つめ、また俺を見上げた。目は泣き腫れて桃のようで、鼻の先は真っ赤だったが、顔はきれいで、まるで洗い立ての子ウサギのように、反応が鈍く見えた。
すすり泣きを一つすると、彼女はそのおにぎりを見て、突然泣き笑いした。笑みにはまだ濃い泣き声と涙の気配が混じっていた。
「北辰くん…本当に約束…どうしていつもおにぎりなの…」
彼女は泣いたり笑ったり、神経質なバカのようだった。
「帰るぞ。」
俺は言った。口調は平然としていて、まるでさっきの顔を拭く行為が一度もなかったかのようだった。
彼女は鼻をすすり、手の甲で最後の湿り気を拭い取り、ティッシュとおにぎり(すぐに食べるのは惜しそうだった)を抱え、手すりに寄りかかって片足で立ち上がろうとした。
俺は彼女の不器用で頑固な動作、夕陽の残照の中で一層細く見えるその姿を見つめ、以前のように手を差し伸べることはなかった。
彼女はついに自力で立ち上がり、おにぎりを大事に胸に抱えた。怪我をした足はつま先でかろうじてバランスを取るだけだった。彼女は一歩一歩びっこを引きながら、よろよろとゆっくり下り始めた。
俺は沈黙して彼女の後ろ、一歩離れた距離を保ってついていった。夕陽が二人の長い影をまだらな壁に映し出した。
彼女の足取りは遅く、背中は階段の明暗の中でどこか寂しげに見えた。廊下の窓枠には枯れていない白い野菊が風にそっと揺れていた。
「ねえ…北辰くん…」
彼女は振り返らず、声はかすかで、泣いた後のしわがれ声が混じり、独り言のように、あるいは風に問いかけるように。
「…好きになるのって…なんでこんなに難しいんだろう?」
俺の足は止まらなかった。視線は彼女の地面に引き延ばされた長い影に落ちた。階段室には彼女の不安定な足音と俺の足音の反響だけが響いていた。
彼女の問いは空気の中に消えていった。答えはなかった。
しかし今回は、校舎の影から抜け出し、学園の喧騒が静まりゆく夕暮れの中に落ちるまで、俺は距離を取ることはなかった。
常に一歩離れた、沈黙した守護の位置を保ち続けた。影は長く引き延ばされ、前と後ろ、高さと低さが斜めに、砕けた金色の光を散らした帰り道に刻まれていた。




