第5話失敗した告白の練習
昨日の太陽の灼熱がまだコンクリートの屋上に残っているようで、もうろうとした陽炎が立ち上っている。
重い鉄のドアを押すと、やはり広々とした空間と、ほこりっぽい風が顔をなぞった。
日向夏橘は俺に背を向け、片足で立ち、わずかに前かがみになり、無言で空中に向かって身振りを練習していた。観客のいない無声劇のリハーサルのように。
ドアの音に反応して、彼女は素早く振り向いた。小麦色の顔には昨日のあの慌てふためいた様子はなく、何かに深く没頭した後のような集中した表情が浮かんでいた。
「北辰くん!」
彼女の挨拶はわざと明るさを装っているが、瞳の奥底にはかすかに気づかれにくい疲労感が潜んでいる。
「準備できた?今日の練習テーマは…『状況没入型告白』だぞ!」
彼女は腰に手を当てて、自ら定めたルールを宣言した。しかし、口元に浮かんだ笑みはどこか無理強いの色を帯びていた。
俺はわずかにうなずき、例の、剥げかかった塗装のコンクリートの地面の方へ歩みを進めた。
「えーん。」
彼女は軽く咳払いをした。その目つきは瞬時に切り替わり、今や目の前に立っているのは俺・素風北辰ではなく、彼女の夢中になっているあの男子生徒であるかのようだった。
「あの…ちょっとだけ…時間、もらえるかな?」
彼女の声はわざと小さめで、ためらいがちな試探が込められていた。指がまた無意識に服の裾をくるくると巻き始めていた——これが彼女の緊張のサインだ。演技に没頭していても、この癖は直らなかった。
彼女は深く息を吸い込み、一歩だけ前へ踏み出した。二人の間はわずか一歩の距離。この距離は彼女に昨日のことを思い出させたのか、目つきが一瞬揺らいだが、冷静さを自分に言い聞かせていた。
「実はずっと…あなたに伝えたくて…」
彼女の視線は俺(あるいは空想上の相手)の目の辺りに必死に集中しようとしていたが、焦点は少しぼやけていた。至近距離での目と目のやり取りという本能的なプレッシャーを克服しようと懸命だった。
「…ずっと見てたんだ。初めて、バスケットコートの端であなたが一人で練習してるのを見かけたときから」
彼女の口調は少し落ち着き、まるで大切な光景を思い返しているようだった。
「ドリブルのリズムがすごく安定してて、シュートを打つ姿もすごく集中してて…額から汗がこぼれ落ちる瞬間が…日差しの中でキラキラしたダイヤの欠片みたいだった…」
彼女の描写は少女特有の繊細な想像力にあふれ、顔にほのかな紅潮が差していた。
これらを言い終えると、期待に満ちた間が空いた。俺(あるいは空想上の相手)の反応を感じ取ろうとしているようだった。しかし、応えたのはただ屋上の広々とした風の音と、相も変わらぬ、静まり返った顔だけだった。
彼女の眉はかすかにひそめられ、目の期待はすぐに「力が足りなかった」という自己評価に塗り替えられた。
「うーん…」
彼女は頬を膨らませ、まるで自分の言葉を噛みしめるようにし、そして激しく首を振った。
「ダメダメ!詩的すぎる!私自身が鳥肌立っちゃう!やり直し!」
彼女は安全な距離まで下がり、目を閉じて数回深く呼吸した。再び目を見開いたとき、その目つきはよりストレートで鋭くなっていた——まるで普段スポーツをしている時の彼女らしい様子だ。
「おい!」
彼女は突然呼びかけた。その声は力強く、まるでコートでチームメイトを励ますようで、俺(と彼女が思い描いた相手)を一瞬たじろがせた(確かに俺は表情には出さなかったが)。
「俺!日向夏橘!お前のこと好きなんだ!軽い気持ちじゃ絶対ない!」
彼女は一歩前へ踏み込み、威圧的なオーラをまとい、目は燃えるように輝いていた。
「バスケがうまい?それは事実だ!勉強熱心?それも事実!でも、お前の一番俺を惹いたところは――」
彼女は少し間を置き、声のトーンを落とした。誠実な戸惑いが混じっていた。
「――お前が一人でいる時、まるで世界全体が静まり返っているのに、お前は少しも慌てていないし、それどころかすごく自然体! この点、俺は本当に羨ましい!どうやったらそんな風になれるんだ?」
彼女の表情はとても生き生きとしていた。困惑、羨望、称賛が入り混じり、彼女自身が持つ飾らないストレートな性格がそのまま表れていた。これこそが真実の日向夏橘だった。
「だから!」
彼女は両手を「パン!」と叩き合わせ、前に身を乗り出した。目は驚くほどキラキラ輝いていた。
「頼むよ!チャンスくれないか?少しだけ近づかせて?お前をわかってみたい、試したいんだ!…どうだ?とにかくやってみないとわかんねーだろ!」
彼女は最も爽快な口調で、最も不安な願いを口にした。
一連の動きは流れるように滑らかで、彼女自身の色を強く帯びていた。昨日のどの試みよりも自然で、力強かった。
演技が終了すると、彼女はすぐに気持ちが折れたように肩を落とした。顔には恥じらいと緊張が戻り、それでも期待の輝きを湛えた視線が俺に向けられた。
「北辰くん!さっきの…さっきのってどうだった?このテイスト、昨日のよりずっといいでしょ?衝撃力も増したって感じ?ねぇ?どう?」
彼女はつい無意識に背伸びさえしていた。
風が汗で濡れた彼女のこめかみの髪を揺らした。俺は彼女の目に紛れもなく宿った、肯定と小さな希望を求める灯を見つめながら、ゆっくりと、静かに、再びはっきりと言葉を紡いだ:
「ない。」
空気が一瞬凍りついた。
夏橘の目の中の光は風に吹かれたロウソクのように、素早く、はっきりと消えていった。彼女の口元に無理強いしていた期待を含んだ笑みも瞬時に消え、唇がわずかに開かれ、何か言いたそうにしたが、結局は何も言葉に出さず、無言で固く結び直した。
残っていた顔の赤みは急速に消え、かすかな青白さに変わった。彼女はもう、昨日のように言い訳をしたり自分を鼓舞しようとすることもなく、ただただ深く、ほとんど音も立てずに息を吸い込んだ。
その息はとても深かった。肩まで大きく上がった。重く、停滞したような挫折感が、一瞬彼女の小さな体を包んだ。初めて、彼女の「打たれ強さ」が限界を超えた瞬間のようだった。
数秒間、息が詰まるような沈黙が続いた。彼女の鼻から漏れるかすかに乱れた息遣いがはっきりと聞こえた。
彼女の視線は焦点を見失ったように、ゆっくりと俺の顔から滑り落ち、最後には呆然と足元の古いコンクリートブロックを見つめていた。昨日まで緊張すると服の裾を捻っていたあの手は、今では無力に体の横に垂れ下がり、指の先がわずかに縮こまっていた。
風はまだ吹き荒れ、金網がわずかに音を立てていた。
時間が沈黙の中を過ぎていく。真夏の太陽さえも少し陰ったようだった。
今日の練習がこうして強制終了になるかと思ったその時、夏橘は動いた。
彼女は顔を上げず、ただ足元のリュックサックをまさぐり始めた。かさこそという音の後、彼女は半ば古びたバスケットボールを取り出した。ボールには汗のしみや、はっきりした土の跡が付いていた——それこそが本当の夏橘らしさを象徴するものだった。
彼女はバスケットボールをそっと地面に置いた。俺を見ることはなく、ただうつむいたまま、かすれ、そしてほとんど独り言のようにかろうじて聞こえる、漂うような声で話し始めた:
「私…私は子供の頃からコートのそばで育ってきた…走っている時に耳元を風が抜ける音が好きだった…ボールが地面に叩きつけられる音が好き…一つの目標をみんなで取り合う、あの熱い気持ちが好き…」
彼女はしゃがみ込み、指は無意識にバスケットボールのざらざらした表面を撫でた。声は深い困惑に満ちていた。
「…人を好きになることって…どうして…こういうことじゃダメなんだろう?共通点を見つけることじゃない?相手の輝くところを伝えることじゃない?『近づきたい』って気持ちをはっきり伝えることじゃないんだろうか…?」
彼女は顔を上げた。もはや俺の顔には焦点が合っておらず、俺を通り越して背後の広い空を見つめていた。目は虚ろで、茫然とし、頑固な疑問を秘めて。まるで目に見えない運命に答えを問うかのように。
「どうして…」
彼女はかすかに問いかけた。その声は蚊の羽音のように細く、風にかき消されそうだった。
「…こんなに力いっぱい走っているのに…どうしてボールを掴みきれないのか、わからないんだ…?」
最後の三つの言葉は、風の中で崩れ去った。
彼女は再びうつむき、ほのかに温もりの残るボールにそっと頬を寄せた。まるでそれが彼女が頼れる唯一の力の源であるかのように。
陽の光が彼女の丸まった背中に当たり、小さな孤影をコンクリートに落とし、執拗に動こうとしなかった。
俺はそこに立ち、黙って彼女を見ていた。少女のすべての無念、困惑、落胆は、そのボールに寄り添う姿に明らかに刻まれていた。屋上の風がひと粒の埃を巻き上げ、彼女の足元でくるくると舞った。
「ない。」その言葉がもたらす破壊力が、この瞬間にはっきりと現れていた。それは彼女が必死に支えていた活力を吸い取り、隠されていたその脆さを、夏の焼けるような空気の中にむき出しにした。
俺はただ、沈黙のまま立っていた。まるで屋上に捨て置かれた、もう一つ物体のように。
風は相変わらず吹き、時間は過ぎた。何分経ったか、もしかしたら数秒だけだったかもしれないが、しゃがみ込んだ影がついに動いた。
彼女はゆっくりと顔を持ち上げ、バスケットボールから離れた。目はまだ赤く、涙がにじんでいたが、その中に見えた困惑や茫然とした絶望は、何かで洗われたかのように、より重厚な何かへと沈殿していったようだった。
彼女は拳で目をこすり、鼻をすすり、そしてゆっくりと力強く立ち上がった。長くしゃがんでいたため足がしびれたようで、少しよろめきながら、隣にあったさびた手すりをつかんでかろうじて体を支えた。
彼女の目は最終的に俺の顔に戻った。しかしそこは期待でも追求でもなく、驚くほど静かな、観察のまなざしだった。
それから彼女は笑った。
その笑みにはどんな喜びの色もなく、むしろ苦々しい自嘲が混じっていた。口元は引きつりながらも、語気は異常にはっきりと落ち着いていた:
「北辰くん…あなたの心って…氷でできてるの?」
彼女は問いかけた。鼻声を帯びていたが、目つきはサーチライトのように俺の眼を捉え、この凍てついた平静の下に何があるのか、見透かそうとしているかのようだった。
「それとも…」
彼女は間を置き、何かを固く決意したかのように、声は羽が落ちるほど軽かったが、その中にほのかな刃物のような鋭さが潜んでいた。
「…お前はただ…習慣的に皆を…全部、障壁の向こうに閉じこめてるだけなのか?」
この問いはまるで狙いを定めて投げられた石のように、これまでにない鋭さを帯びて飛んできた。否、むしろ…幾ばくかの挑戦の気配さえ漂っていた。
答えを予期していない。それはむしろ、彼女が長い間抑えていた本音を、ついに黙認された壁を突き破ってしまった結果と言えた。
沈黙。今まで以上に深い沈黙が屋上を覆った。風が俺の前髪を揺らし、彼女の汗の染みた服の裾も揺らした。
俺は相変わらず無表情で、答えることはなかった。答えるつもりもなかった。
夏橘は数秒間待った。しかしこの波一つ立たない顔を見て、彼女の目の中に最後に残っていた望みや尋問の光も完全に消え去った。
彼女の肩はわずかに落ちた。あの鋭い問いを投げかけることさえもが、最後の力をすべて使い果たしてしまったかのように。
「はあ…」
彼女はとても低く、深い疲労を込めて笑った。それはもう俺に対してではなく、むしろ自分自身のこれまでの執念を嘲笑っているようにも聞こえた。
「やっぱり…考えすぎだったみたいだね」
彼女はかがみ込み、改めて地面のバスケットボールを拾い上げ、胸に抱きしめた。まるで最後の希望を抱えているように。
彼女の視線はもはや俺には留まらず、俺の肩越しに、遠くの校舎の賑やかな窓を見やった。
「今日の練習は…」
彼女の声は普段の明るい口調に戻っていたが、その明るさの下には紛れもないかすれと無理強いの色が混ざっていた。
「…ここまでにしよう」
彼女は振り向き、ボールを抱えたまま、振り返ることなく階段口へと歩き出した。
「北辰くん…ありがとね」
この謝辞はかすかに届き、決まり文句の締めくくりのように響いた。距離を置く礼儀を含み、夏の午後の風音に掻き消されて、空疎で遠く離れているように感じられた。
足音が広々とした階段室で響き、近くから遠くへ、ついには消え去った。
屋上には再び俺だけが残された。
太陽は依然として灼熱だったが、空気の中にはまだ少女の汗の匂い、執念の息遣い、そして最終的に漏れた疲れたため息の気配が残っているように感じられた。
俺は彼女がさっきしゃがんでいた場所へ歩み寄った。コンクリートの上に、ほんの少し濡れた跡がまだ完全には乾ききっていなかった——汗か?それともうっかりこぼれ落ちた涙か?または両方か?
少し離れた場所に、練習中に落とした彼女の水色のヘアクリップが、陽の光の中に安っぽいがしぶとく輝いていた。
ミッション、終了したか?
俺は腰をかがめ、そのヘアクリップを拾い上げた。冷たいプラスチックが掌に張り付く。
空気の中に、彼女の最後の問いが反響しているようだった:
「…お前はただ…習慣的に皆を…全部、障壁の向こうに閉じこめてるだけなのか?」
俺はヘアクリップをポケットに入れ、振り向いて階段口へ向かった。
隔絶?
俺はただ、この虚ろさに慣れてしまっているだけだ。