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朝の風景

夜明け前の最初の微かな光が、冷たい指先のように、重い夜の帳を静かに押しのけ、けちけちと主寝室の大きな窓に差し込んだ。


そして僕は、その光がまぶたに触れたほぼ同時に、ぱっと目を見開いた。


一晩中、僕はあの横向きの姿勢を保っていた——体の半分がベッドの縁からはみ出し、左腕は未久にぎゅっと抱き締められたまま。


体中のあらゆる筋肉が痛み、特に宙に浮いた方の肩と腰背はひどかった。


さらに厄介なのは、精神的な疲労が激しい波のように押し寄せていたことだ。一晩中、ほとんど…眠れなかった。


僕は慎重に、極めてゆっくりと固まった首を動かし、かすかな「コキッ」という音を立てた。視線が周囲をなぞる。


未久は相変わらずコアラのように僕の腕をぎゅっと抱きしめ、長いまつ毛が目の下に影を落としている。


陽葵は仰向けに寝て、小さな口を半開きにし、茶色の小さな巻き毛がタンポポのようにぼさぼさだった。星奈は眠っていても少し丸まっていて、小さなウサギのぬいぐるみをぎゅっと抱え、金色の髪が頬に張り付いていた。


凛音は横向きに寝て、紫色の長い髪が枕の上に広がり、静羽は姿勢が整然としていて、呼吸はほとんど音がしないほど落ち着いていた。雪野と千紗は少し離れた位置に寝ていた。


深く息を吸い込み、まず、未久に抱きしめられた左腕を引き抜こうとした。息を止め、最小限の動きで、少しずつ、少しずつ外に動かした。未久は眠りの中で不満そうにぶつぶつ言い、手が無意識にぎゅっと締まった。


僕はすぐに動きを止め、彼女の呼吸が再び落ち着くのを待った。五分もかけて、ようやく腕を引き抜くことに成功した。


次に、ゆっくりとベッドから降り、そっと書斎へ歩き、バルコニーに出た後、バルコニーのドアに鍵をかけた。妹たちが来て危ないからだ。はしごを降り、裏庭へ行き、それから家の中に入った。


時間は限られている。妹たちが目を覚ます前に、朝食の準備を終えなければならない。冷蔵庫を開け、少し空っぽに見える中身を見る。食パンはまだある、卵も足りる、牛乳…一人一杯がやっとだ。


それなら簡単な目玉焼きトーストと牛乳にしよう、それに果物も少し(リンゴとバナナが少し残っていてよかった)。


エプロンをして、コンロをつける。フライパンを熱し、少し油をひく。普段料理をしている感覚を思い出そうとするが、疲れで動きが鈍い。


最初の卵を割った時、殻の破片が鍋の中に落ちそうになった。慌てて取り除いたが、卵液は少し固まりすぎていた。


「ちっ…」


僕は眉をひそめた。集中して。二個目、三個目…ようやく少し順調になった。


黄金色の卵液が鍋の中でじゅうじゅうと音を立て、縁に細かい油の泡が立つ。香りが漂い始めた。


僕は片手で鍋の目玉焼きを素早くひっくり返し、片手で焼き上がったトーストを取り出し、急いで牛乳の火を止めに行った。


「お兄ちゃん…何か美味しいもの作ってるの?」


眠気を帯びた、ふにゃふにゃした声が突然キッチンの入り口で響いた。


僕ははっと振り返った。


陽葵がぼさぼさの茶色の巻き毛を頭に乗せ、歪んだクマのパジャマを着て、裸足で、眠そうな目をこすりながら、空気中の香りをクンクン嗅いでいた。


「陽葵?どうして起きたの?」


僕は少し驚いた。


「陽葵、いい匂いがしたんだもん!」


彼女の大きな目がぱっと輝き、駆け寄ってきて、僕の脚に抱きついた。


「お兄ちゃん!陽葵、お腹すいた!」


彼女のこの叫び声で、キッチンの入り口にまた小さな頭がいくつも覗いた。


星奈がおずおずとドア枠をつかみ、金色の長い髪をだらりと垂らし、大きな目にはまだ寝ぼけているようなぼんやりした光が浮かび、小さな声で尋ねた。


「お兄ちゃん…おはよう…」


凛音は紫色の長い髪が少し乱れ、顎をわずかに上げて、


「凛音…も…お腹すいた…」


静羽は後ろに静かに立ち、黙って僕の慌ただしい様子を見つめていた。


続いて、ウサギのパジャマを着て帽子が斜めに被った未久も目をこすりながら現れ、陽葵が僕の脚に抱きついているのを見て、すぐに不満そうに口をとがらせた。


「陽葵!お兄ちゃんの料理の邪魔しちゃダメ!」


雪野と千紗も次々に現れた。雪野はあくびをしながら、琥珀色の目に笑みを浮かべて、


「わあ!いい匂い!お兄ちゃん、お疲れ様!」


千紗は小さな声で言った。


「おはよう…お兄ちゃん…」


キッチンは瞬く間に七人の女の子でいっぱいになった。


「お兄ちゃん!卵、できた?」


「未久お姉ちゃん!陽葵が一番に食べたい!」


「凛音…凛音は形がきれいなのがいい…」


「星奈…星奈も…」


「お兄ちゃん、手伝おうか?」


「お兄ちゃん!牛乳こぼれそう!」


「はいはい!食堂に行って座ってなさい!」


僕は声を張り上げて秩序を保とうとした。


「未久!彼女たちを連れて手を洗って顔を洗ってきて!雪野、千紗、お皿と箸を並べるの手伝ってくれない?」


女の子たちはようやく未久、雪野、千紗に半ばなだめられ半ば押し出されるようにキッチンから連れ出された。僕はやっと一息つき、急いで残りの目玉焼きとトーストを仕上げ、温かい牛乳をカップに注いだ。


最後の朝食を食卓に運んだ時、女の子たちはほぼ席についていた。陽葵は待ちきれずに椅子に登り、皿の上の目玉焼きをじっと見つめていた。


星奈は小さく牛乳を飲んでいた。凛音は自分の皿の目玉焼きを批判的に見ていた。静羽は静かにトーストを食べていた。雪野と千紗が食器を配るのを手伝っていた。未久は陽葵に座るよう注意しながら、星奈の口元のミルクを拭いていた。


朝食後、出発の準備をした。


四人の小さな子たちの洗顔、着替え、髪を梳かす(この困難な任務は主に未久と雪野が担当し、僕はゴムや櫛を渡し、櫛で痛がって抗議する陽葵と凛音をなだめる役割)。


ランドセルをチェック(雪野と千紗のランドセルは自分で用意し、未久が四人の小さな子たちに小さいランドセルに物を詰めるのを監督した)。


時間が刻一刻と過ぎていく。


「よし!出発!」


僕は深く息を吸い込み、玄関のドアを開けた。朝の冷たい空気が流れ込んだ。


玄関に立ち、目の前に整列した七人の女の子を見つめた。


「陽葵、こっちおいで、お兄ちゃんの手を握って」


僕は左手を差し出した。


「はーい!」


陽葵はすぐに嬉しそうに飛びつき、小さな手で僕の二本の指をぎゅっと握った。


「星奈、お兄ちゃんのもう一方の手を握って」


僕は右手を差し出した。


星奈はおずおずと小さな手を伸ばし、そっと僕の別の二本の指を握った。


「凛音、静羽」


僕は彼女たちを見た。


「あーあ!お兄ちゃん、本当に面倒くさい!」


凛音は少し不満そうだったが、それでも小さな手を伸ばし、星奈の空いている手を握った。静羽は黙って陽葵の空いている手を握った。


こうして、僕は左手で陽葵を、陽葵は静羽を、右手で星奈を、星奈は凛音を握る形になった。


「未久、雪野、千紗、僕の後ろをしっかりついてきて、安全に気をつけて」


「わかったよ、お兄ちゃん!」


「大丈夫だよ、お兄ちゃん!」


「うん…」


幼児用ハーネスをつけて、出発。


陽葵はぺちゃくちゃとしゃべり続け、道端の花を見ても指さし、飛んでいるハトを見ても興奮して叫んだ。


星奈は僕の手をぎゅっと握りしめ、周囲の見知らぬ環境を緊張した顔で見つめ、体を少し僕に寄せていた。凛音は顎を上げていたが、目には一抹の新鮮さが浮かんでいた。静羽は静かに歩き、落ち着いて周囲を観察していた。


未久は僕のそばにぴったりくっつき、警戒して周囲を見回していた。雪野は好奇心いっぱいにあちこちを見回し、時々千紗と小声で話していた。千紗は少し堅そうで、うつむいて歩いていた。


僕は三つの大きな女の子の安全に気を配りながら、絶えず注意を促した:


「陽葵、前を見て、飛び跳ねちゃダメ!」


「星奈、怖がらないで、お兄ちゃんがいるから」


「凛音、階段に気をつけて」


「静羽、遅れないで」


「未久、雪野、千紗、横断歩道だ、車に気をつけて!」


ついに、着いた!幼稚園は家から遠くなく、徒歩約四分。


幼稚園の入り口にはもう多くの保護者と子供たちがいた。僕は四人の小さな子たちを入り口に連れて行き、しゃがんだ。


「陽葵、星奈、凛音、静羽、幼稚園に着いたよ。先生の言うことを聞くんだよ、わかった?」


四人の小さな子たちは僕を見つめ、力強くうなずいた。


「お友達とけんかしちゃだめ」


「うん!」


「何かあったら先生に言うんだよ」


「わかった!」


「お昼ご飯はちゃんと食べるんだよ」


「はーい!」


「午後のお迎えの時」


僕は少し間を置き、声に力を込めた。


「お兄ちゃんが迎えに来るから。美咲お姉ちゃんのそばでおとなしくしていて、絶対に一人で外に出ちゃだめ、わかった?」


「わかった!」


四人の声がそろった。


「いい子だ」


僕は一人ひとりの小さな頭を撫でた。


「行っておいで、先生に『おはようございます』って言ってね」


「先生、おはようございます!」


「お…おはようございます、先生!」


「先生、おはようございます!」


「先生、おはよう!」


「美咲お姉ちゃん、おはよう!」


そこには二十代前半に見える、優しい雰囲気の若い女性が立っていた。幼稚園の先生の統一された水色の制服のワンピースを着て、長い髪を簡単に後ろで束ね、親しみやすい笑顔を浮かべていた。


彼女はこの幼稚園の先生で、僕が小さい頃から見守ってくれた隣のお姉さん——藤原美咲だ。


「あらあら、小辰くんじゃない!」


美咲お姉さんは僕を見て、目を輝かせ、早足で近づいてきた。


「これが妹たちなのね、本当にお利口さんね!」


彼女は両親から事情を聞いていたようだ。


「美咲お姉さん」


僕は少し照れくさそうに頭をかいた。


「あの…午後のお迎えの時、すみませんが…ちょっと見ていてくれませんか?僕はすぐに来るから」


僕は懇願するような口調で彼女を見つめた。美咲お姉さんの家は幼稚園のすぐそばで、とても便利だ。


彼女は優しく笑い、手を伸ばしてそっと僕の肩をポンポンと叩いた。


「もちろんいいわよ!安心して行ってらっしゃい!午後は私がちゃんと見ておくから!道中気をつけてね!大丈夫よ!お姉さんが彼女たちを連れ去ったりしないわ、だって、お姉さんが連れ去りたいのはむしろ…」


彼女は再び僕に向かって笑いかけると、手を振って幼稚園の中に入っていった。


幼稚園の件が片付くと、僕はすぐに未久、雪野、千紗に向き直った。


「急いで!私たちも遅れちゃう!」


中学校は幼稚園からさらに徒歩約五分の距離だ。私たちはほとんど走って向かった。


「未久!もっと速く走って!」


「雪野!千紗!ついてきて!」


「車に気をつけて!」


僕は走りながら、振り返って三人の女の子がついてきているか確認した。未久は走って顔を真っ赤にし、ウサギのヘアピンが落ちそうだった。雪野は体力が良く、走りながら笑うこともできた。千紗は少し息切れしていたが、それでも頑張ってついてきた。


私たちは中学校の校門に駆け込んだ。セーラー服やブレザーを着た生徒たちが次々と校門に流れ込んでいた。


「よし!着いた!」


僕は足を止め、息を切らしながら、目の前で同じく息を切らしている三人の女の子を見た。


「未久」


僕は彼女を見て、真剣な口調で言った。


「学校では先生の言うことを聞いて、真剣に勉強するんだ。雪野と千紗は転校したばかりだから、面倒を見てあげて、わかった?」


「うん!わかった!お兄ちゃん!」


未久は力強くうなずいた。


「雪野、千紗」


僕は彼女たちを見た。


「新しい学校、新しい環境、緊張するのは当然だ。わからないことや困ったことがあったら、必ず先生に言うか、それか…僕に電話するか、家で僕に言うか、わかった?」


僕は携帯電話を振って見せた。


「わかったよ!お兄ちゃん!」


雪野は笑顔が輝き、琥珀色の目は活気に満ちていた。


「私たち、クラスメイトと仲良くするよ!」


「うん…わかった…ありがとうお兄ちゃん…」


千紗は小声で応えた。


「それと」


僕は再び強調した。


「午後、学校が終わったら、一人でふらふらしないで、安全に気をつけて。未久は彼女たちを美咲お姉さんの家に連れて行ってもいいし、先に帰ってもいい。何かあったら必ず言うんだ」


「わかった!」


「はい!」


「うん!」


三人が肩を並べて校門に入り、同じ制服を着た生徒の流れに消えていくのを見て、僕はようやく長く、長く安堵のため息をついた。


頭の中は真っ白で、ただ耳鳴りだけが残った。僕は道端の電柱に寄りかかり、大きく息を吸い込み、手首を見て時間を確認した。


「しまった!」


僕は自分の高校の方向へ、最後の力を振り絞って、必死に全速力で走り出した。


燃えろ!俺の限界!

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