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第18話夕暮れの絆

放課後のチャイムが暮れなずむ空気に響く。校門を出ると、空はすでに深い紺碧色に染まり、街灯が灯り、ひんやりとした空気にぼんやりと黄色い光の輪を浮かべていた。


いつもより三十分ほど遅い。窓辺であまりにも待ちわびる姿を思い浮かべると、足取りはさらに速くなる。


玄関のドアを開けると、家特有の温かく馴染み深い匂いが押し寄せてきた。リビングには暖かな黄色のフロアランプが灯り、その光がソファに丸くなった小さな体を優しく包んでいた。


「お兄ちゃん!おかえり!」


あまりにも勢いよくソファから飛び降りた。デカデカとした猫の肉球のプリントがついたワイドなフーディを着て、細い脚はルームソックスに包まれている。


素足で、トントンとやや冷たいフローリングを渡り、まだ玄関に立つ僕に飛び込んできた。


彼女は小さな顔を上げ、光沢のある額がライトの下で上品な輝きを放ち、大きな目は驚くほどきらきらしていた。


髪は洗ったばかりらしく、ふわふわと柔らかく肩にかかり、毛先はまだ少し湿っており、首筋の優雅な曲線にぴたりと沿っていた。


今、彼女は懸命につま先立ちし、小さな鼻をひくひくさせながら、まるで獲物を確認しようとする小さな動物のようだ。


「お兄ちゃん、今日の匂い…なんか、他の人の匂いがする?」


彼女の眉がかすかにひそまった。その目に、かすかに検知できる警戒の波紋が広がり、長いまつげが不安な蝶の羽ばたきのようにパタパタとはたかれ、一瞬通り過ぎた困惑を隠した。


僕の視線は彼女の素足に落ちた。


「スリッパ。」


「うん…」


あまりにも初めて自分のフローリングの上の足の裏を見下ろし、ちょっと恥ずかしそうにひんやりとしたフローリングをこすり、微かなサラサラという音を立てた。


「お兄ちゃん、マフラーちゃんと巻いてないから、襟から風が入っちゃうんだよ!」


小さく言い訳しながら、手を伸ばし、ごく自然に開いた学生服の襟と少し曲がったマフラーを直してくれた。


彼女の指先は入浴直後の温かさと湿り気を帯びており、意識せずに僕の首筋の肌をかすめ、微妙な痒みと不思議な温かい流れをもたらした。


彼女の小さな顔はとても近づき、彼女の体に残った薄いユリの香りと、髪の柔らかく暖かい匂いをはっきりと嗅ぎ取ることができた。


彼女の動作には本能的な親しみと無言のマーキングが込められており、まるで彼女のテリトリーを慎重に確認しているかのようだった。


整えて、彼女は一歩後ろに下がり、その目が再び僕をしっかりと捉えた。さっきの困惑は好奇心に取って代わられたが、その奥底にはまだ言い表せない感情が潜んでいた。


彼女の小さな手はフーディの大きな裾をわずかにつまんでいた。この小さな動作は、彼女の心の内がまったく平静ではないことを暴露していた。


僕はリュックから少し膨らんだ買い物袋を取り出した。紙袋は柔らかく、かすかなサラサラという音を立てる。


「あげる。」


袋を彼女に差し出した。


あまりにも一瞬で目がくぎ付けになった。小さな口が少し開き、さっきの困惑と警戒は風に吹き飛ばされた薄い霧のように、巨大な驚きに急速に取って代わられた。


彼女は慎重に紙袋を見つめ、また僕を見つめ、目には信じられないという問いかけとほんの少しの躊躇いが満ちていた。


「わ、私に……?」


声は興奮で震えていた。


「うん。」


僕はうなずいた。


確信を得ると、彼女は待ちきれないほどに、しかし異常に優しく袋を受け取り、まるで壊れやすい宝物が入っているかのようだった。


彼女はちょっと不器用に袋を開けた。動作には子供っぽい興奮が込められている。柔らかな布地が見えたとき、彼女はとてもかすかで、まるで夢のようにつぶやくような吐息をもらした。


「わあ…」


それは非常に優しいモーヴ系のマフラーだった。主調は柔らかな初雪のように、雑味のない純白。しかし、繊細なニットの生地の中に、春の桜が花びらを落としたような淡いピンク、そして雨上がりの晴れた空のように澄んだ静かな青がきわめて巧みに織り込まれていた。


三色はまるで日差しに温められた雲霞のように絡まり合い、純粋で夢幻的で、同時に比類なく優しかった。


素材は細かく柔らかなカシミヤ混紡で、手に触れると温かくふわふわとし、新しい織物の清潔な匂いがした。


「すっごく…かわいい…」


あまりにもつぶやいた。指先は注意深くマフラーの表面に触れ、その繊細な手触りを感じていた。


彼女の小さな顔は一瞬で輝かしく明るい笑顔を咲かせ、純粋で満足げだった。まるで世界中がこの柔らかな贈り物に照らされたかのようだった。


彼女はマフラーを抱えて、小さな顔を深くその中に埋め込み、こすりこすりした。ついにお気に入りのあったかい場所を見つけた子猫のように、喉の奥から満足げな「グルグル」という音をあげて、長いまつげが心地よさそうに半分垂れた。


「ふわふわ…気持ちいい…お兄ちゃんの抱っこみたいに温かい…」


声は柔らかな布地にこもって、深い依存感と幸福感がにじみ出ていた。


「あまりにも大好き!お兄ちゃんの買ってくれるものはいつでも最高!」


彼女は顔を上げた。小さな顔はぽっちゃりして、目は感動的な三日月状に細め、中は隠しようのない喜びの光でいっぱいだった。


彼女は二回ぴょんぴょんと跳ね、手放したくないほどにマフラーを胸に抱きしめた。その純粋な喜びは溢れんばかりで、甘い空気が玄関の小さな空間に広がった。


僕はスリッパを履き替え、リビングへ向かう。あまりにもマフラーを抱えて、小さなしっぽのように僕の後ろをついてきた。


彼女はマフラーに顔を埋めて何度か深く息を吸い込み、ようやっと名残惜しそうにそれをソファに一時的に置いた。自分は手足を器用に使ってソファに上り、柔らかなクッションの上に跪いて座った。小さな手は膝の上で重ねられていた。


「お兄ちゃん、学校…今日はどうだった?」


声は澄んでいて、少しはずんでいる。


「変わらないよ。」


コップに水を注ぎながら答えた。


「うん…」


あまりにも小さな頭をかしげ、柔らかな長い髪が肩から数房滑り落ちた。大きな目はまばたきもせず僕の背中を見つめている。まるで何かの手がかりを懸命に探しているかのようだった。


彼女は膝を抱え、小さな足の裏がクッションの上で無意識に揺れていた。


「…本当に…新しいお友だちは…できなかったの?」


この質問は慎重に投げかけられた。声は知らず知らずのうちに柔らかくなり、かすかな…探りと…不安が込められていた?


さっきまで喜びで輝いていた目には、うっすらと靄のような憂鬱がかかっていた。


「新しいお友だちならできたよ。」


「新しくて…お友だち?!」


あまりにも目を見開いた。声は急に高くなった。さっきまで大切に抱えていたマフラーが突然熱くなったように感じられ、思わず肘の中に押し込められた。


彼女は勢いよく僕の目の前に飛び出し、小さな顔を上げ、切迫した様子で尋ねた。


「男の子?女の子?その子たち…いい子?あまりにもといるよりもいい?」


最後の質問を終えると、彼女の声は急に弱まり、わずかに震えが混ざっていた。長いまつげは素早く数回パチパチとはたかれ、突然激しく湧き上がってきた酸っぱい涙を覆い隠そうとするかのようだった。


彼女は無意識にもう一度頬で抱えているマフラーをこすった。あまりにも僕の目をじっと見つめ、その靄はさらに濃くなったようだ。


「あの…あの『雨憶伶』って…転校生…」


彼女の声はさっきよりも柔らかく、囁くように、目には複雑な光が揺らめいていた。


「それって今日、お兄ちゃんの匂い…いつもと違う匂い…その子の匂い?」


彼女の小さな手は無意識に服を握りしめ、指の先はわずかに白くなり、内心の緊張を露呈していた。


彼女は平静を装おうと努めていたが、わずかに震える長いまつげと、かすかに閉じられた、可愛らしいダイヤモンド形をしたピンクの唇は、ある種の強い、子供っぽい執着と…恐れを雄弁に物語っていた。


彼女が最も大切なお兄ちゃんが、あの「匂いが違う」女の子に心を奪われ、あるいは…連れ去られてしまうのではないかという恐れだ。


部屋には時計のカチカチという軽い音しかなかった。フロアランプの暖かい光が彼女を包み込み、うつむいた小さな顔に少し陰を落とし、より一層脆い期待感を浮き彫りにしていた。


空気は微妙に静寂に包まれていた。僕は柔らかな光に照らされた彼女を見つめた。不安と依存で満たされていた目は、柔らかな灯りの下で、靄に浸み込んだ二つの黒い硝子玉のようで、純粋すぎて心が痛み、重く心にのしかかった。


手に持っていたものを置き、体をわずかに前に傾け、両手を膝にそっと置き、彼女の目をじっと見つめ、一語一語、はっきりと丁寧に言った。


「そうだよ。」


彼女の顔がフグのように膨らんだが、しばらくして、また元に戻り、泣き出した。


「お兄ちゃん…あまりのことを見捨てたの…」


「バカなこと言うな?」


僕は彼女の涙をぬぐった。彼女の体が震えていた。


「お兄ちゃん…最近帰る時間も決まらない…きっとあの姉たちと…一緒にいて…あまりのことを見捨てたんだ…」


「そんなことないよ。ずっとお前のそばにいて、付き合ってあげる。」


この短い言葉は、まるで重い分量を帯び、静かな空間にそっと落ちたようだった。


あまりにもがっと頭を持ち上げたが、目にはまだ涙がいっぱいだった。彼女は必死に泣かないように我慢していた。


僕は少し間を置き、声をさらに低く確かにし、永遠の約束をしているかのように言った:


「何があっても、ずっとお前のそばにいるよ。」


「ぐすっ!わかった、あまりのもわかってるよ!」


彼女は目をこすりつつ、まるで生死を乗り越えた後の巨大な喜びを帯び、強く小さな頭をうなずいたため、あまりにも問答無用に僕の胸に飛び込んできた。


僕は思わず彼女を受け止めると、彼女はしっかりと僕の首に腕を回し、小さな顔を僕の鎖骨のくぼみに親しげに押し当て、熱い、巨大な喜びの温度を帯びた息を肌に噴きかけた。


「お兄ちゃん一番だよ!あまりのお兄ちゃん大好き!」


僕の胸の中で力強くこすりつけながら、濃厚な鼻声と満足げな吐息を漏らした。


彼女はそのままぎゅっと抱きしめ、僕の胸の中でしばらく甘えていた。その狂喜がようやく静まった時、彼女の呼吸はゆっくりと落ち着きを取り戻した。


しかしそれでもまだ離れる気配はなく、むしろ小さな頭を僕の胸のくぼみに埋め込み、より心地よい位置を探した。そして、彼女は巨大な感情の起伏を経験したばかりの、ほてりがまだ完全には引いていない、より愛らしく可愛らしく見える小さな顔を上げた。


まつげにはまださっきの涙がほんの少しだけ付着している。彼女の目は輝き、今は巨大な満足感で満たされた後で、より純粋で澄んだ光沢を帯び、疑いの影ひとつない、あふれんばかりの期待を秘めたまなざしで僕を見つめている。そこには少しの疑惑もなく、ただあふれるほどの期待があるだけだった。


「お兄ちゃん…」


彼女の声は少し長く引き伸ばされ、甘ったるい鼻声が混ざっている。


「今日…あまりのも一緒に寝てくれる?」


答えを待たずに、彼女はすぐに強調し、口調には少し子供じみたわがままさがあったが、それでもとても当然のことを言っているかのように。


「だって…だってお兄ちゃんがあまりの心配させたんだから!」


「だから…一緒に寝ないと!じゃないと…あまりのはめっっっっっちゃ怒るからね!」


「うん。」


「いえーい!」


短く熱烈な歓声がすぐに上がった。あまりにも全身が輝き、小さな顔は大きな望みが叶った後の純粋な喜びでいっぱいだった。


すぐに、もっと大事なことを急に思い出したかのように、手を伸ばして僕の胸元の学ランをつかみ、体をさらに近づけた。シャワー後の清々しい匂いを放つ顔が、ほとんど僕のあごに触れんばかりに迫った。


「じゃ!明日!土曜日!」


彼女は興奮して告げた。顔は興奮で健康的なピンク色を帯びている。


「お兄ちゃん、あまりのと遊びに行くって約束してくれたよね!約束破っちゃダメ!」


彼女の口調は疑いを許さない、小さな高圧さと計画が成功したことへの得意で満ちていた。


「わかった。」


「わーい!お兄ちゃん最高!」


彼女は歓声をあげ、再び僕の肩に頭をもたせかけ、安堵感に満たされた深い息を吸い込んだ。まるでこの失われた安堵感をすべて吸い込み、もう一度自分の体の中に吸い込もうとしているかのようで、また息が肌にかかった。


卓上のランプが穏やかな光を私たちに投げかけ、輪郭をぼやけた影の輪郭を描く。


あまりにも静かに寄り添い、小さな手は相変わらず僕の首に軽くかけられたまま、小さな頭が重そうに僕の肩にのっている。


明日は晴れるだろうか?



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